通学時間を考える その3[中学受験]

「『通学時間を考える その1』で保護者に聞いた『志望校の平均通学時間』と、学校に聞いた『在籍生の平均通学時間』を比べると、保護者アンケートのほうが短いように思われるが、4年生と5年生のデータが含まれていることを勘案すると、学校アンケートと同じ程度になることが考えられる」というのが私の結論であったが、学校難易度別ではどのような違いがあるか見てみたい。
今回は、保護者アンケート・学校アンケートで学校難易度別に、平均通学時間を分析する。

私立中学受験の志望校選定で重視する要素 その1」で志望校選定要素で最も順位が高いのは、「学校のイメージ」であったが、「立地・環境」を最も重視する保護者の割合は、意外に多く平均で約14%もあった。
また、さらに、志望する学校難易度別でみると、偏差値60以上の学校を志望する場合、通学時間を重視する保護者は約12%、以下同様に、偏差値50~60未満約19%、偏差値50未満約14%と、難易度により通学時間を重視する保護者の割合に違いがある。

【図 志望校の平均通学時間(保護者アンケート:難易度別)と在籍生の平均通学時間(学校アンケート:難易度別)】
志望校の平均通学時間(保護者アンケート:難易度別)と在籍生の平均通学時間(学校アンケート:難易度別)
※百分比(%)は小数第1位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある。

【図】を見ると、保護者アンケートでは、偏差値60以上と偏差値50未満を志望する平均通学時間が長く、偏差値50~60未満を志望する平均通学時間は比較的短い傾向がある。また、偏差値50未満を志望する平均通学時間は、「4. 40~45分未満」と「5. 45~50分未満」「6. 50分以上」の3ゾーンに分散している。
学校アンケートでは、ほとんどの学校で平均通学時間は、「4. 40~45分未満」と「5. 45~50分未満」「6. 50分以上」の3ゾーンしかない。「3. 35~40分未満」の通学時間ゾーンを志望している保護者は合計すると約21%(学校アンケートでは約9%)であり、このゾーンの保護者は「通学時間」を学校選択要素として重視している可能性が高い。志望校選定要素の1位を「立地・環境」とした保護者が約14%であったことを裏付けるデータである。

難易度ごとに保護者アンケートを見ると、一般的に考えられているように高い難易度の学校を志望している保護者ほど平均通学時間は長いということはなさそうである。「6. 50分以上」の平均通学時間は、むしろ偏差値50未満がトップになっている。偏差値50~60未満は、平均通学時間が最も短いという特色がある。つまり保護者全体の平均値に最も近い回答をしているのが偏差値60以上を志望する保護者という意外な結果になっている。
学校アンケートの「6. 50分以上」を見ると、偏差値60以上と偏差値50未満では42%も差があることから難易度によって平均通学時間に大きな差があることがわかる。また、難易度が高いほど平均通学時間が長くなっている傾向があるようだ。学校アンケートから、学校難易度別の平均通学時間では、明確な傾向と特色があると言えそうだ。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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