過去問で付けたい……組み立てる力[中学受験合格言コラム]

先週お話しした「解法の手順」で考えるなら、「組み立てる」はほぼ「方針」のステップにあたる。つまり公式やその単元特有の考え方を使ったり、立式したりするステップである。

ところで実力のある生徒とそうでない生徒では、このステップにおける状況はかなり違っている。できる生徒であれば、このステップではすでに答えが見えているのである。「見当を付けている」と言ってよいだろう。だから計算の結果出てきた答えが予想と違う場合、「なんか変だな?」という感じを受ける。そんな場合は、正解でない場合が多い。
これに反して、あまり実力のない生徒は、だいたいどんな答えが出てくるか予想が付かない。計算が終わって出てきた答えを見て、初めて「こんなものか」ということになる。この差は実に大きい。
「見当を付ける」ことができれば、解法が途中で間違えた方向に行き出したとしても、すぐに「おかしい」と気付いて修正が可能になる。しかし「見当を付ける」ことができなければ、妙な答えが出ない限りはそうとは気が付かないであろう。このように「見当を付ける力」は、「組み立てる力」のなかでもかなり重要な能力であると考えられる。

「見当を付ける」のは、早い時期から練習しておくとよい。たとえば「求める角度はだいたい60度くらいかな」と意識しながら答えを出すということである。ただし「三角形ABCの三辺は同じ長さのように見えるから、正三角形である」というのはもちろんいけない。本当にこんなことをする生徒がときどきいるので念のため付け加えておく。

「見当を付ける」ことは、国語でも重要な力である。たとえば、国語の問題で「文明・文化」について書かれた論説文を読んだとする。その際「文化を駆逐する文明を批判する」という筆者の主張を、読み終えてから初めて理解するのではなく、「文明は自然をむしばむから批判されるだろう」とか、「もしかしたら、文明を多少は肯定するかもしれない」など、読み進めながら筆者のイイタイコトを予測するということだ。このような力を身に付けることで、問題文に対する理解を深め、さらに読むスピードを速くすることができる。

なお過去問演習の実施後、採点前に「今回は何点くらいとれた」という見当を付けることも重要である。予想点と本当の点数がある程度一致しているということは、何もわからずに解いているのではなく、十分に理解しながら問題を解いていることになるからである。これも大切なポイントであると言えよう。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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