高校入試に役立つ! 英語教育のプロが伝授する、文脈を意識するトレーニング法
「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能など、ますます「使う」力が求められている中学校の英語。一方、ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)の調査(2009年)によると、「英語が苦手」と答えた生徒は6割に上っている。英語への苦手意識を払しょくし、英語の力を伸ばすため必要なものとは? 「世界の100人の教師」に選ばれたこともある関西大学教授の田尻悟郎氏が、教科書本文を使って、家庭で楽しく応用力を付ける学習法を伝授する!
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A:皆さん、野菜好きですか? ぼく好きですねん。
B:こいつねえ、野菜好きなんですわ。
A:うちの家族はねえ、八百屋やってますねん。
B:うちの相方の家は、八百屋なんですわ。
A:うちの台所のテーブルには、いっつも野菜が置いてあるんですわ。
B:こいつの台所のテーブルには、いっつも野菜が置いてあるんですわ。
……このように、漫才では「うちの相方」とか「こいつ」などを主語にして、相方が言った言葉を聴衆に向かって伝える言い方があります。つまり、相方の言葉を「三人称」にしてくり返しているんですね。
高校の学習では、文中のit, that, they, he, sheといった代名詞が何を指すのか、といったことがよく問われます。このような問いは、文の流れ(文脈)をさかのぼって考えないと答えられません。音読をしながら、文脈を意識するトレーニングをしておくと、高校入試にも役立ちます。なぜなら、入試で出題される長文問題は、一文一文の意味がわかっても、全体のつながりがわからなければ点数がとれないからです。
このように、常に代名詞が何を指しているか考えるくせを付けることは、英文全体の文脈をつかむトレーニングになりますので、非常に有効な勉強法です。