子どもが新学期を安全に過ごすポイントは?

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2023年度の新入学・新学年が始まります。新しい学校生活への期待に、胸を膨らませているお子さんも多いことでしょう。これまでと違う環境で過ごす際には、安全面にも気を付けたいもの。学校にいる間だけでなく、登下校や放課後の過ごし方のポイントを考えてみましょう。

この記事のポイント

休み時間の校庭で多い子どものけが

ドッジボールや追いかけっこで転倒、ボールを取りそこなって突き指、昇降口で出会い頭に衝突……。小学校での休憩時間のけがは、年間約15万件発生しています。日本スポーツ振興センターによると、けがの約半数(48%)は学校の休憩時間に起きています。休み時間は体を自由に動かして遊べる楽しい時間ですが、教師の目が行き届かなくなる分、各教科の時間(30%)やホームルームなど特別活動の時間(9%)に比べても、けがが多いのが特徴です。
発生場所も、運動場や校庭が54%を占めます。けがをした体の場所は「手・手指」(22%)が最も多く、次いで「足関節」(13%)、「頭部」(11%)の順になっています。けがの種類は「挫傷・打撲」(36%)、「骨折」(26%)、「捻挫(ねんざ)」(17%)の順です。
同センターでは、子どもによくあるけがや事故の安全対策を促すパンフレットを公開しています。

自転車は大人もヘルメット着用

学校外では、自転車関連が要注意です。自転車に乗っていて事故で亡くなった人の致命傷の部位は頭部が58%を占め、負傷した人では腕や足のけがが多くなっています。
学校の「安全教室」で正しい乗り方を学ぶ機会は設けられていますが、家庭でも確認しておきたいものです。2023年4月1日からは道路交通法の改正により、すべての自転車利用者に乗車用ヘルメットの着用が努力義務化されました。これまでも児童・幼児に着用させる努力義務が保護者には課せられていましたが、改正後は年齢にかかわらず自転車の運転者全員に広がりました。これからは大人も子どもも自転車に乗る時は、ヘルメット着用が当たり前になりそうです。

「いかのおすし」は意味を再確認

子どもだけで行動したり、親子で大勢の人のいる場所に行ったりする時には、「いかのおすし」の合言葉で防犯意識を高めることができます。
「いかのおすし」は、子どもが自分の身を守るための行動を、語呂合わせで標語にしたものです。知らない人にはついて「いか」ない、知らない人の車に「の」らない、助けてと「お」お声を出す、連れて行かれそうになったら「す」ぐ逃げる、近くの大人に何があったかを「し」らせること……を意味しています。
2004年に東京都教育庁と警視庁で考案され、言葉のインパクトも手伝って、全国に広まりました。ただ、標語そのものは言えても、改めて意味を聞かれると、記憶があやふやなことも少なくありません。標語の意味を再確認する必要がありそうです。

まとめ & 実践 TIPS

学校や教職員には、子どもたちの心身の健康を守る安全配慮義務が課せられています。他にも保護者や地域のボランティアが登下校時の見守りを行うなど、子どもの安全対策は講じられてきました。体を動かしたり外出の機会も増えたりする春先は、いつも以上に子どもの安全に気を付けたいものです。

(筆者:長尾 康子)

日本スポーツ振興センター 令和4年度の学校安全教材カード 3月号 休憩時間の事故に気をつけよう(パンフレット「なくそう!休憩時間の事故」参照)
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/card/tabid/519/Default.aspx

警視庁 おやこでまなぼう!「いかのおすし」で毎日安全!
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/kodomo/kodomo110.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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