<オープンキャンパス当日>高1・2生がチェックするべき5つのポイント‐村山和生‐

前回は、オープンキャンパスに行く前に知っておいてほしい予備知識をお伝えしました。今回は【当日チェックポイント編】として、高1・2生がオープンキャンパス当日に見るべきポイントをご紹介します。



(1)近年のトレンド「複数学部併願」を見越した回り方を

近年、多くの大学が導入し始めているネット出願。それと同時に、1回の受験で複数学部を併願できる制度もどんどん充実しています。そこでおすすめしたいのが、自分が今考えている学部だけでなく、少しでも興味の持てそうな分野の学部は余さずチェックすることです。
これをやりやすいのが、ひとつのキャンパスに複数の学部が集まっている総合大学。こういった大学を、少なくとも1校はスケジュールに入れておくといいでしょう。



(2)大学の実態を如実に表す 先輩学生たちをしっかり観察

オープンキャンパスは大学の“よそゆき”の姿だとよくいわれます。確かにその傾向がないとはいえませんが、最近は企画・運営などを学生主体で行う大学も増え、比較的現実に近い、リアルな実態を見られるようになっています。このような大学では、学生が立てた企画や、取り組む表情、コミュニケーション能力などをよく観察してください。大学側がうたっていること……たとえば、企画力やコミュニケーション力が身に付くなど……の実態が、てきめんにわかるはずです。
もちろん、大学中心で実施している場合でも、オープンキャンパス当日に一人も学生がいないようなことはほとんどありません。必ず先輩たちの様子をチェックし、もしやる気がなかったり、魅力を感じられなかったりしたような大学は、選択肢から外すことを考えてもよいでしょう。



(3)設備の新しさより、手入れの具合が大事

最新式の校舎や教室を見るとテンションが上がるものですが、本当に見るべきは教室以外の場所にも手入れが行き届いているか否かです。たとえば学食。たとえ古くても、ゴミがきちんと整理整頓され、掃除が行き届いているような大学は、先輩たちがしっかりしており、先生や職員の方々の目も行き届いているといえるでしょう。大学の質は、一見学びとは関係のないような細部にも表れているのです。



(4)授業以外の時間帯を有意義に過ごせる場所はあるか?

講義のたびに学生自身が教室を移動するのが、大学のスタンダードな学びのスタイル。高校までと違って、基本的に自分の机というものがありません。決まった居場所がないわけですから、授業がない時間に過ごせる場所がどれだけあるのかを確認しておくことは、実は非常に重要なのです。
たとえば、学食が食事以外の時間帯でも居やすい雰囲気か否か。あるいは図書館に自習スペースや友達とディスカッションできるようなスペースがあるのか否か。教室の雰囲気だけでなく、この辺りもしっかりチェックしておくことをおすすめします。
また最近では、「ラーニング・コモンズ」と呼ばれる、学生たちの学びのための共有スペースを備える大学も増えています。空き時間に学習を進められるのはもちろん、グループディスカッションに向いた可動性の机やホワイトボードが用意されているところも。もちろんそこまでの設備でなくとも、机やいすが置かれたフリースペースが研究室の前に用意されている大学などは好感が持てます。
大学は授業だけを受けに行く場所ではありませんし、そのような受け身の学び方をしていては社会に出た時にも十分な力が発揮できません。授業時間外に自分の学力やスキルを伸ばせる居心地のいい場所があるか否かは、大学生活の充実度に直結します。



(5)質問しやすい環境が整っているか?

大学で本気で学ぼうとするなら、授業を聞くだけではなく、授業外で先生に質問しに行くことも必要です。しかし高校までと違い、大学には先生が一箇所に集まる職員室のようなものがないことがほとんどですし、授業前後で先生が教室にいる時間も限られます。そんななかで、気軽に質問しやすい雰囲気があるか否かは、ぜひオープンキャンパスで確認してみてほしいポイントです。
学習について質問や相談がある場合どこに行けばいいのか。そしてそこへ実際に行ってみて、気軽に質問できる雰囲気か、それとも気後れしてしまうような雰囲気なのか、ぜひ肌で感じてきてください。

オープンキャンパスは、大学を疑似体験できる貴重な機会です。大学側もさまざまな催しを用意して迎えてくれますが、それらを自分の進路に生かせるか否かはあなた次第。【オープンキャンパスワークシート】(ベネッセ教育総合研究所作成も併せて活用するなど、ぜひ有意義な時間にしてください。

注)オープンキャンパスは事前の申し込みが不要な大学がほとんどですが、一部、事前に申し込みが必要な大学がありますので、大学HP等であらかじめ確認してください。

プロフィール


村山和生

ベネッセでは進研模試等を通した高等学校への進路指導支援、大学入試分析、進路説明会講師等を担当。2012年からはベネッセ教育総合研究所・高等教育研究室のシニアコンサルタントとして大学の教学改革支援や入試動向分析、「VIEW21大学版(現:Between)」編集長等を担当。16年からは「ベネッセ i-キャリア」にて大学生向けアセスメント分析や大学IRのための統合データベース開発などを担当。17年からは一般財団法人大学IR総研の調査研究部にて、研究員として高等教育全般の調査・研究と教学改革支援、ならびにIRの推進支援に携わる。
ベネッセコーポレーション帰任後は、学校支援事業の経営企画業務に従事。21年からベネッセ文教総研の主任研究員として、高等教育を中心に「学修成果の可視化」「IR」を主なテーマとして調査、研究、情報発信を続けている。

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