協働力の高め方とは?ボーク重子さんに聞く!これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方 ~Lesson13 協働力

ライフコーチのボーク重子さんに、子どもの「非認知能力」の育み方について、連載でお伺いしています。第13回の今回は、他者と協力してより良い未来を作り上げていくうえで欠かせない、「協働力」についてのお話です。

この記事のポイント

【保護者のかたのお悩み】
Q.きょうだいや友達と意見が違った時に、「そっちでいいよ」と、いつも子どもが譲ってしまいます。優しいと思うのですが、もっと自分の意見を主張してもいいのではないかとも思います。どうすれば、自己主張ができる子になりますか?

自分にとって「大事なこと」でなければ、主張しなくてもいいのでは

ボークさん:まずは「前提」が大切です。
いつも全てのことにおいて譲っているのか、それとも、譲らない部分もあるのか。
その子にとって「大事なこと」も、自己主張ができていないのであれば、一緒に考えてあげたほうがいいかもしれません。でも、話を聞く限りでは、「意見が違った時に」譲っているとおうちのかたが感じているのであれば、「違う意見」を出せているという時点で、その子は自分の意見が言えている、自己主張ができているのではないでしょうか。
そのうえで、相手に譲っているのかもしれません。

たとえばどのテレビ番組を見るとか、自分の意見があったにせよ、相手に任せてもいいと本人が思っているのであれば、相手に譲っても問題はないでしょう。むしろ、相手の気持ちを考えて譲れているのであれば、自己主張ができないのではなく、共感力が高く、相手の気持ちになって行動ができていると言えるのではないでしょうか。

そういった意味では、何かおうちのかたが介入できることがあるとすれば、その子どもに対してではなく、譲ってもらった相手の「共感力」を高める声かけでしょうか。

いつも譲っているお子さんのきょうだいに、たとえば「○○が譲ってくれたね。お互い好きなものが違う時は、毎回譲ってもらう代わりにできることってあるかな? だって〇〇もきっと見たいものね」などの問いかけをしてみます。そこでなんの意見も出ない場合は「じゃんけんとか順番に見るのはどう?」といった複数の提案をするのが効果的かと思います。
そして子どもたちに選ばせる。自分で決めたことのほうが私たちは守るからです。そうすることでもう一方にも、相手の気持ちを考えるきっかけになりますよね。

「自由に何でも」「否定しない」ディスカッションが効果的

お子さんが自己主張をうまくできない理由が、他者との「ディスカッション」がうまくできないことにある場合は、家庭でぜひトレーニングをしてみてください。
ディスカッションを苦手に感じてしまうケースの多くは、「やり方をよく知らない」「慣れていない」からです。これはトレーニングすることで鍛えることができます。

我が家でも毎晩、夕食時には家族3人揃って「今日の出来事」を伝え合うということをしていました。この時に大事にしていたことは、決して「相手を否定しない」ことです。ディスカッションとは勝ち負けを決めることではないので、自由に何でも意見交換できる環境がとても大切です。

どんな意見でも「面白いね、もっと聞かせて!」と話を引き出し、「なるほど、そんな考え方もあるね。私だったらこう思うかな」と意見を言います。家庭の中であれば、子どもだって何でも言えるでしょうし、失敗しても恥ずかしくないはずです。

こういった経験を家庭の中で積むことで、外でも発言できるようになりますし、相手の話を否定せずによく聞くことで、相手の立場になって考える「共感力」も高められます。

「違いを受け入れる力」は家庭で鍛えられる

これまでの日本では、「和を乱さない」協働力が大切にされてきました。それももちろん大事なことですが、これからの時代が求める「協働力」とは、お互いの意見を出し合うことで違いから学び、発展させていくものだと思います。

世界的にも、グローバル化、多様化がここまで進んできているので、これからはいわゆる正解のない問題について最適解を見つけていく時代であり、正解がないからこそ他の人と意見が違うのは当たり前なことでしょう。

その違いをどう受け入れて、どう乗り越えて、どう使っていくか。
それこそが重要になっていきます。
この時にまず大事なことは、「違いを受け入れる力」です。

これは、家庭という「コミュニティー」での経験で身に付けていくことができます。
生まれて最初に属するコミュニティーは、ほとんどの人が「家族」です。
家族とは、父と母という、他人が一緒になり、そして、子どもがいるという、3人家族であれば、3つの違った個性がどうやって協働して生きていくかということが試される場です。そこで実践をたくさん積めば、協働力も育めます。

家庭の中で「協働力」を高める2つのこと

家庭の中で、協働力を育むためにぜひ実践していただきたいことが2つあります。
1つは、なかなか難しいことですが、親の「トップダウンをやめる」ことです。
「親の言うことを聞きなさい!」では、単に命令系統がしっかりするだけで、子どもの発言する機会を奪い、「どうせ言っても無駄」という諦めを生むだけで、結果的に主体性をなくし、協働力も育まれません。

もう1つは家庭の中に「ルールを作る」ことです。
ルールがあることで、人はそのルールを守るために、自分は何ができるかということを考え、行動しようとします。そういった体験を積むことで、コミュニティーの一員としての自覚を持ち、協働力を鍛えていくことができます。

ルールが守れない時はまた、そのことについて、家族で話し合うのもよいでしょう。守れない理由は、守ることのハードルが非常に高いからかもしれませんし、単純に面倒なのかもしれません。まずはルールを作り、実践してみて、難しい場合は話し合いながら、修正を加えていく。そういったコミュニティーをよりよくするために考える経験が、協働力を高めることへとつながっていきます。

まとめ & 実践 TIPS

協働力を育むためには、お互いの違いを受け入れ、どうすればそのコミュニティーの中でよりよい答えを導き出せるかを一緒に考えることが大切だと分かりました。まずは「家庭」というコミュニティーから実践していきたいですね。

非認知能力について、もっと詳しく読みたいかたはこちら
子どもを幸せにする非認知能力の育み方

プロフィール

ボーク重子

ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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