保・小・中学生 3児の父・料理研究家コウケンテツさんが気をつけていること

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手軽にできる家庭料理のレシピと軽妙なトークで人気の料理研究家・コウケンテツさん。
実生活では3人の子どもの父親として子育てに奮闘されているパパです。
そんなコウさんに、子育てについてお話を伺いました。

この記事のポイント

まるっきり違う子ども3人。子育ては思い通りにならなくて当たり前

—コウさんは3人お子さんがいらっしゃいますが、日々子育てで感じていることを教えてください。

コウさん:「子どもは自分の思い通りにならないもの」ということは、いつも思っています。
あと、びっくりするくらい3人とも、性格から好きなものまで、何から何まで違うので、日々、子どもごとに、どう接しようかと悩んでいますね。
今の時代、子どもを産み育てること自体、全然当たり前じゃない。ノーベル賞ぐらい大きな賞をもらっていいんじゃないかと思うぐらい大変です(笑)。
毎日が大変すぎて、子どもが産まれる前は「こう育てたい」という理想のようなものがありましたが、産まれたら全て吹き飛びました。「こんなに思い通りにならないことが、世の中にあってもいいのか!」と思うぐらい、何一つ、思い通りにならない。それが子育てなのだと学びました。

「ねばならない」という理想を手放すと、少し楽になる

—子育てにマイルールや理想はありますか?

「家族で一緒に、朝ごはんと夜ごはんは食卓を囲む」というのが僕の理想でした。「家族一緒に美味しいものを分かち合いたい」という僕の強い願いでもありました。
何とか最初の子どもまではそれができていましたが、2人目、3人目と子どもが増えるにつれ、ごはんの準備以外にも子どもたちの世話や家事があり、また年齢が上がると習い事や塾で時間も合わなくなり、徐々にその理想は崩れていきました。
その時気が付いたことは、理想を持つのはいいことだと思いますが、それが「みんなで一緒に食べねばならない」という自分勝手な義務感や、ほかの家族への押し付けになってしまっているならば、その理想は「捨ててもいい」ということ。
家族が増え、子どもも成長しているので、変わることは自然なことです。理想に縛られすぎて、思い通りにならないからといってイライラしてしまっては、それこそ家族のためにならない。それは勉強になりましたね。

日本の保護者はがんばりすぎ。もっと支え合える社会であってほしい

—子育て中という理由で、我慢していることはありますか?

手放したものは「自分の時間」でしょうか。ひとりだけの自分の時間は、なかなか持てなくなりましたね。ゴルフが好きですが、なかなか時間が捻出できないので、ゴルフショップのWEBサイトを見ているだけの日々です(笑)。

でも僕だけではなく、日本の多くの保護者のかたは、子育て中は自分の時間や趣味、やりたいことを手放していると思います。それは当たり前のことなんかじゃなくて、本当はそうじゃないとまわらない、日本の環境に問題があるのではないかと思うのです。
取材でヨーロッパ各地にも行かせてもらいましたが、子育てのサポートの仕方がまったく違うと感じました。もっと社会全体で子育てをしている感じがありますし、たとえば料理だって平日は、両親ともに仕事があるので、作らないという考え方の家庭も多いです。
日本にもそういう考え方や社会的なシステムであったり、サポートであったりがもっとあればいいなと思います。そういう社会にしていきたいですね。
日本の保護者は自分たちだけでがんばりすぎだと思います。

教えたり叱ったりだけじゃない  親が生きる姿勢を見せること

—しつけや教育で、気をつけていることがあれば教えてください。

僕は子どもに「こうしなさい」とか、「そんなことじゃだめだ」などとは、言わないようにしています。僕もできないから(笑)。
でも、「大事な人のために自分ができることを考えて、最大限にやる」
この姿勢は、いつも意識しています。
コロナでだいぶ仕事のスタイルも変わりましたが、以前は出張や取材の仕事が多く、家を空けることも多くありました。その時に、パートナーはひとりで子ども3人をみてくれていました。そういう大変な時に、一番上の長男は、何も言わずに洗い物をしてくれたり、買い物の時に多く荷物を持ってくれたりしていたそうです。僕が家にいる時は、そんなことはないんですが(笑)。いないと、僕の役割をやろうとしてくれるのです。家事のなかで、食事作りは僕の担当ですが、いない時は、長男がトーストなどの朝ごはんを作ってくれます。そんなことが、小学生(現在中学生)で、自分からできるということは、素敵に育ってくれているな、と思います。
僕が「こうしろ」「ああしろ」と言ったわけではないのですが、僕の思いが伝わっているのかなと思います。これは自分の励みにもなっていますね。

子どもと親は別の人間。それを認めれば、子育てはもっと楽しい

—子どもにイライラしてしまうという保護者のかたにアドバイスをお願いします。

親のイライラが溜まるのは、子どもが自分の思い通りにならないと感じる時ではないでしょうか。でも本当は、自分の子どもでも、別個の人間です。僕も物を投げるとか、最低限のルールを守らない時は叱りますし、イライラすることもありますが、子どもは親の所有物ではありません。だから難しくもあるのですが、「子どもは自分とは別の人間。だから思い通りにならなくて当たり前」というところから出発すれば、子育てのイライラは少し減るかもしれません。

まとめ & 実践 TIPS

子育てに持つ「理想」。それは時に、「3食ともすべて手作りで、栄養バランスもきちん摂らせねばならない」「毎日早寝早起きをさせねばならない」「休みの日はいつも家族で過ごさねばならない」……などと、たくさんの「ねばならない」となり、自分や家族を追い込んでしまう原因になることも。そういう時は、本当に必要なことは何かということをいったん立ち止まって考え、時には理想を「捨てる」勇気を持つことも大事なようです。

プロフィール

コウケンテツ

コウケンテツ 料理研究家

大阪出身。旬の素材を生かした手軽でおいしい家庭料理を提案し、テレビや雑誌、イベントなど多方面で活躍。30か国以上の国を旅して世界の家庭料理を学ぶ。3児の父親としての経験をもとに、男女共同参画、子育てについての講演会も精力的に行う。YouTube公式チャンネル「Koh Kentetsu Kitchen」は登録者数130万人を超える人気となっている。近著は『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(ぴあ)、『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』(新泉社)。

〇YouTube公式チャンネル「Koh Kentetsu Kitchen」bit.ly/3dMrkeV
〇インスタグラムhttps://www.instagram.com/kohkentetsu/?hl=ja

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