ママ友付き合いも楽になる! 自分の気持ちの上手な伝え方【後編】

自分の考えを伝えたいが、関係が気まずくなったり、衝突したりするのは困る…。そんなケースでの、アサーティブなコミュニケーションを意識してみましょう。引き続き、NPO法人アサーティブジャパンの森田汐生さんにお話を聞きました。

相手の反発心を招かずに自分の考えを伝える方法とは

アサーティブなコミュニケーションを実践するうえで、ぜひ覚えておいていただきたいのが、「I(アイ)メッセージ」「YOU(ユー)メッセージ」という考え方です。文字通り、Iメッセージは「自分」、YOUメッセージは「相手」を主語としたメッセージです。

自分の意見や要求を伝えようとすると、YOUメッセージになることが少なくありません。しかし、YOUメッセージは批判的な意味をもちやすく、相手の反発心を招きやすくなります。それをIメッセージに直すと批判的な印象が少なくなります。次の例をご覧ください。

【ケース1】

【相手に遅刻をしてほしくないとき】
(YOUメッセージ)
「どうして(あなたは)遅刻ばかりするの?」
「(あなたは)待つ人の気持ちを考えたことがある?」

(Iメッセージ)
「なかなか来ないと心配になるから事前に連絡がほしいな」
「早く会いたかったから、ちょっと寂しくなっちゃった」

【相手の言葉に傷ついたとき】
(YOUメッセージ)
「ひどいことを言わないで!」
「言われた人の気持ちを考えたことがある?」

(Iメッセージ)
「そういうふうに言われると、ちょっと傷つくよ」
「へこんじゃうなあ、その言葉」

このようにIメッセージを意識することで、カドを立てずに、自分の考えや気持ちを伝えることができます。

夫に家事や育児を負担してもらうためには、どう伝えるといい?

YOUメッセージとIメッセージの考え方に沿って、家事や育児の分担でもめる夫婦のケースを考えてみましょう。

【ケース2】

妻は夫に対し、もう少し家事や育児を負担してほしいと思っている。しかし話し合いをすると、つい感情的になってケンカになってしまう。

●YOUメッセージの場合
≪妻から夫へ≫
「私はこれだけがんばっているのに、あなたは○○しかしてくれないよね」
「私は毎日寝るまでへとへとなのに、あなたは家に帰ったら休めていいよね」

「あなたは○○をしてくれない」といったYOUメッセージの場合、それが事実であっても夫の反発心を招きやすくなります。すると、夫は「自分なりにがんばっている」「勤務時間は自分の方が長いから、家事の負担が少なくても当然」などと、妻に対抗して話し合いがまとまりにくくなってしまいます。

●Iメッセージの場合
≪妻から夫へ≫
「私もとってもしんどいの。だから週末にでもお風呂の掃除をしてもらえると、すごく楽になるの。大変だと思うけど、どうかな?」
「今週末は一気に家事を片付けたいから、子どもを連れて遊びに行ってくれると、とても助かるよ」

相手が悪いと責めるのではなく、相手の気持ちを尊重したうえで、正直に自分の状況を説明して気持ちを伝えましょう。家事はお互いバランスをとって行いたいものです。だからこそ自分だけが犠牲になるのではなく、相手も大変かもと思いやると夫もこちらの気持ちを理解しやすくなるのです。

保育園に運営の改善を要求したいときは…

アサーティブにおいて、自分の要求を伝える際の大原則は、「変えることができること」を要求することです。変えられないことの典型例は、過去の出来事です。例えば「あのとき、○○をしてくれなかったよね」と過去のことをもち出すと、相手に精神的なダメージを与えられるかもしれませんが、建設的な話し合いにはなりません。相手が変えられるのは「今」と「これから」であることを意識して要求を伝えるようにしましょう。子どもが通う保育園に意見を伝える場面を想定し、上手に要求を伝える方法を考えてみましょう。

【ケース3】

保育園の行事の運営に不満を感じた。今後のためにも改善を要求したい。

◆過去にとらわれた否定的な意見
「あの行事の運営、○○だったから、全然楽しくなくて子どももいやだったと言ってます」
「せっかく楽しみにしていたのに、あんな形で終わってしまって。どうしてくれるんですか」

◆これからを見据えた建設的な意見
「先日は本当にお疲れさまでした。あの行事ですが、○○を△△したら、子どもがもっと楽しめたかもしれません。来年はぜひ検討してもらえますか」

よくなかった点を指摘するだけでは、改善にはつながりません。ふだん、お世話になっている感謝の気持ちを示しつつ、どうすればよくなると思うのか、具体的な案を伝えるとよいでしょう。

アサーティブなコミュニケーションは、繰り返し実践することで徐々に身についていくものです。ふだんから意識することで人間関係の悩みを軽減させて、子育てを楽しめることを祈っています。

プロフィール



一橋大学社会学部卒業。大学在学中にアサーティブに出合う。大学卒業後、社会福祉士の資格を取得し、イギリスの地域精神医療団体でソーシャルワーカーとして勤務。その間、ヨーロッパにおけるアサーティブの第一人者、アン・ディクソンのもとでトレーナー養成講座を受け、アサーティブトレーナーの資格を取得。帰国後、NPO法人アサーティブジャパンを立ち上げ、アサーティブ・トレーナーとして、全国各地で講演や研修を行っている。

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