子どもに「ダメ!」と言わない対応とは?

もう10年以上も、コーチングのコーチとして活躍しているYさんですが、ご自身のお子さんたちには、時々、イラッ!とすることもあるそうです。この日も、長男6歳と次男3歳がもめている様子。正しいルールに従ってカードゲームをしたい長男A君と、ルールをまったく理解していない次男B君。ゲームどころではなく、やりたい放題のB君に、A君はイライラモード全開!
「もうダメダメ!」
「違う違う!」
「やめて!」
そんな言葉ばかりをB君に浴びせるA君に、今度は、お母さんのYさんがイライラモード。ところが、さすが!名コーチ。建設的な関わり方で、子どもたちの様子に変化が見られたそうです。今回は、そんなYさんの対応をご紹介します。

「否定」の代わりにまず「質問」

「もう! Bがいたらゲームができない!!」とかんしゃくを起こしている長男A君に対して、Yさんは、「前に、○○兄ちゃん(ご近所の大好きなお兄ちゃん)が来た時、B君と同じ歳の妹さんと一緒にゲームしたよね。あの時、○○兄ちゃんは、『ダメ!』とか『違う!』とかって言ってたっけ?」と質問。一瞬、考えるA君。そして、Yさんは、
「どうやったら、B君がわかってくれるのか?どうやったら楽しくできるのか?考えてみたらどうかな?」

と提案しました。すると、長男A君は、何かに気付いたらしく、次男B君がゲームをできるように考えて、接し始めました。その後、二人は仲よくゲームを楽しんだようです。

このような場面で、親も一緒になって、「けんかはダメだよ!」「もうやめなさい!」と否定する言葉をかけていたら、よけいに収拾がつかなくなります。感情的に声を張り上げて、相手を動かそうとしたり、物事を解決しようとしたりすることは、決して建設的な態度とはいえません。親のほうが、いつもそんなふうに、力ずくで言うことを聞かせようとしていたら、子どももそのような関わり方しかできなくなっていくでしょう。

否定する言葉を叫ぶ前に、Yさんのように、「質問」をしてみるのは、一つの効果的な方法です。
「今はゲームをしないで!」→「今は何の時間だっけ?」
「ここでは、おしゃべりはやめて!」→「ここでは、どうしたらいいと思う?」
「遅れないでよ!」→「何時までに行くんだっけ?」
など、「質問」の形に言い換えてみてはどうでしょうか。

不平不満は「提案」に!

今回のように、子ども同士がもめていたりすると、仲裁するつもりが、「もううるさい!」「どうして仲よくできないの?」など、こちらの不平不満を子どもにぶつけるだけになってしまうことがあります。それを言っても、結局、何の解決にもつながりません。子どもを不平不満で動かすのではなく、Yさんのように、「提案」という形にして伝えるのは非常に効果的だと思います。「こうしなさい!」と命令するのではなく、「こう考えてみたらどうかな?」と伝えます。「提案」も、あくまで穏やかに淡々と伝えるのがポイントです。

こちらの不平不満を感情的に伝えるだけでは、まるで「子ども」と同じです。子どもは、案外、大人が「大人」であるかどうかをちゃんと見ています。大人が、「子ども」のように、自分の感情をコントロールできないまま、解決につながらない不平不満を叫んでいても、とても聞く気にはなれません。「提案」という形で、解決を促す対応をすることは、その場の問題を解決に向かわせるだけでなく、子どもの親に対する尊敬や課題解決力をも引き出していくように思います。

(筆者:石川尚子)

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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