「スイッチ」を見つけ出そう! 子どもが噛みついたりたたいたりするときの対処法
人に噛みついてしまう、手でたたいてしまう…。小さなお子さまには珍しくないことかもしれませんが、ママ・パパとしてはとても困ってしまうもの。いくら小さな子どもとはいえ危険な行為ですし、できるだけ早く落ち着いてほしいと考えるでしょう。「やめなさい」と言うだけで行為がおさまらない。そんなとき、保護者としてどのように対応すればいいのでしょうか。
決して「噛む子、たたく子=悪い子、育てにくい子」ではない
お友だちの中には、噛むこともたたくこともないという子もたくさんいるかもしれません。そういったお友だちとわが子を比較してつい気持ちが暗くなり、「うちの子は育てにくい子なんだ」と思い込んでしまう保護者のかたも多いようです。保護者からの愛情不足のように指摘され、悲しい思いをしているかたもいます。
まずその考え方はやめましょう。「噛む子、たたく子=悪い子、育てにくい子」と考えるのは間違いです。感情がきちんと見える形になってあらわれているというのは、決して悪いことではありません。気持ちを内側にこもらせて外に出せず、あとになって悪い形で出てしまうこともあるのです。今、噛む、たたくという動作があるということは、それだけ自分の気持ちを素直に表現できているということ。自分の子どもなりの感情表現なのだと考えましょう。
その行動につながる「スイッチ」を見つけ出す
しかし、感情をぶつける行為が他人を傷つけるかもしれないという点は、少しずつ変えていかなければなりません。まずは噛みつく、たたくという行為に至るきっかけとなる「スイッチ」が何かを探り出しましょう。「うちの子は、なんでもかんでも噛みつくし、たたく」と思っているかもしれませんが、必ずその行動につながることがあるはずなのです。
そのスイッチとも言うべき事柄を見つけ出すことができれば、噛むかもしれない、たたくかもしれない、という心の準備ができます。お友だちがいる場合には、噛みつきやたたく行為を防ぐこともできるでしょう。過去のパターンを考えたり、これからの行動をしっかり観察して考えてみてください。お世話をお願いしているおじいさん、おばあさんなどにも、「どんなときに噛んだりたたいたりすると思う?」と細かく聞いてみましょう。
やめようね、こうしたかったんだよね、を根気強く伝えていく
噛みついたりたたいたりをはじめたときには、まず「痛いことはやめようね。○○ちゃんも『あむっ』って噛まれたら痛いよね?」など、言葉と表情でも伝えましょう。怒る表情よりは「悲しい」表情で話すことが重要です。ただし、暴れてパニックに陥っている場合には気持ちを落ち着けさせることが優先。抱きしめるなどして身体の動きを止めさせるようにしましょう。
その子にとって噛む、たたくという行為は、何らかの意思を伝えるために行っていること。上手に言葉で伝えることができ、かつそれが相手にわかってもらえるのならば、噛みつきもたたくという行為も発生しにくくなるでしょう。
「もっとお菓子を食べたかったんだよね? そうだよね、おいしかったものね」
「あのおもちゃを貸してほしいって思ったんだよね? ○○ちゃんもあれで遊びたいんだね」
そういった言葉をかけてあげましょう。「本当はどうしたかったのか」ということを代弁してあげることが重要です。噛んだりたたいたりしなくても気持ちは伝わるのだと安心させてあげましょう。その希望が叶わなくとも、「気持ちは伝わっている」ということを理解させ、共感してあげてください。お菓子がなくとも、おもちゃがなくとも納得させるのはもっと先のこと。それは、噛まない子どもにとっても、たたかない子どもにとってもまだまだ難しいことです。
言葉が意思を伝えられるようになれば噛みつきやたたく行為は自然におさまる
保護者のかたとしても、噛みつきやたたく行為はいち早くやめさせたいもの。「どうしたらやめてくれるの?」と焦ってしまうかもしれませんが、どの子どももだいたい3歳くらいになれば落ち着くと言われています。
「そんなに長く続くの…?」と思われるかもしれませんが、あくまでも、3歳=ほとんどの子どもが言葉で意思疎通ができるようになる頃合い、ということ。ママ、パパからの「こうしたいんだね? そうだね?」という共感が積み重なり、十分な言葉がなくとも意思疎通ができるようになれば、3歳を待つことなく噛む、たたくといった行動はおさまるでしょう。その日まで、じっくりお子さまと向き合っていきましょう。