子どもの「まばたき」が多くて気になる…これって「チック」?原因や解消法は【医師監修】

私たちが日常的に行うまばたきというしぐさ。これ自体は無意識に行われるものですが、必要以上に回数が多いまばたき、ぎゅっと強い力で行われるまばたきについては、少し注意する必要があります。お子さまのまばたきで気になることがあるとき、どう対応するべきなのでしょうか。小児科医であり東京医科大学主任教授を務める山中岳先生にお聞きしました。

この記事のポイント

不自然なまばたきでも、自分でやめることはできない

まばたきの回数が増えたり、強い力でぎゅっとまばだきをしてしまったりするのは、「チック」のひとつと考えられています。チックとは、本人の意志とは関係なく身体の一部が動いてしまうことで、幼児期を中心に子どもに多く見られる症状です。

「チック」とは?

チックには、まばたき、首振り、肩すくめ、顔しかめなどの単純性運動性チック、発声や咳払いなどの単純性音声チック、さらにはものに触る、飛び上がるなどの複雑性運動性チック、人の言っていることを繰り返していってしまう反響言語やひわいな言葉を発してしまう汚言などの複雑性音声チックの大きく分けて4種類の症状があります。

チック症の多くは4〜10歳頃に単純性運動性チック(まばたきなど)で発症することが多く、単純性運動性チックが見られても、複雑性チックまで症状が増えることなく、数カ月以内、または成人になるまでに自然に消滅する場合が多いです。

チックの原因は以前は精神的なものであると考えられていましたが、現在は脳の代表的な伝達物質であるドーパミンの量が脳内でアンバランスになっていることが原因の一つと考えられています。これは遺伝的要因によるものと推測されています。ストレスがあったり、緊張したり、逆にとても楽しいときなどもチック症状が強く出るので、必ずしもストレスが原因ではありません。
また、情緒面に影響を与えるセロトニン神経の活性低下を引き起こす環境要因も考えられるため、チックはさまざまな病態が絡み合っていると考えられています。

注意することで行為そのものをやめさせようとしても、本人に身体を動かしている自覚がないため、やめることはできません。短時間であればチック症状を抑制できる場合もありますが、抑制を続けると一次的に症状が激しくなってしまうこともあるので、シック症状が出ていることを指摘するのはやめましょう。

まばたきが多い原因はチック以外にも

チック以外でまばたきが多くなる理由として、眼精疲労、ドライアイ、眼瞼けいれん(まぶたのけいれん)、アレルギー性結膜炎、睫毛内反、角膜びらん(角膜上皮のただれ)、結膜への異物混入、近視・遠視・乱視など、目の疾患が原因のこともあります。心配な場合は眼科も受診しましょう。

小児科を受診したほうがよいケースは?

心配にはなりますが、チックは子ども時代には珍しくはないこと。もし数ヵ月まばたきが治まらない、下記のような症状で日常生活で困ることがある場合は小児科を受診してみましょう。

・チックの症状により日常生活に支障がある場合
・チック症に併存しやすい前駆衝動(むずむずする感覚)が見られる
・不安感が強い、やりたくないのに手洗いを繰り返してしまうなどの強迫行為が見られる

プロフィール

監修:山中岳

子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さんの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。

プロフィール



フリースクール パーソナルアカデミー代表。大阪教育大学大学院教育学研究科修了。公立高校、大手予備校、大検予備校、NPO法人理事長を経て、現職。現在、不登校の子ども達のメンタル面と学力面をトータルにサポートしながら、生徒一人ひとりの希望進路実現に向けて取り組んでいる。

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