【季節ごとに気をつけたい】子どもがかかりやすい病気とは?
子どもの病気はさまざまです。子どもがかかりやすい病気の特徴を分類し整理しておけば、医師が診断を下す際の手助けになることもあります。お母さんは子どもの最も身近な主治医なのです。というわけで、子どもの病気を総ざらいし、まとめておきましょう。わかりやすく季節ごとに分類してみました。
春〜夏に気をつけたい病気
◆アレルギー性鼻炎
花粉の飛ぶ季節です。またダニなども活発に動き始めるため、ハウスダストの飛散する量も増えます。主な症状はくしゃみと鼻水です。皮膚炎になったりもします。鼻炎が悪化すると副鼻腔内に鼻汁がたまり、それが原因で中耳炎や髄膜炎などの感染症を引き起こしたりします。
根本的な治療は、時間をかけてアレルギーへの抗体をつくっていくことです。根気のいる治療ですが、抗ヒスタミン剤の内服で症状を抑えたり、ネブライザー吸入で鼻管の通りをよくするといった対症療法が中心となります。
◆溶連菌感染症
幼児などに多く発症する感染症です。流行性があるため、進入学の季節に拡がる傾向にあります。初期症状は発熱と喉の痛みが多いため、風邪と思って受診する人が多いです。咽頭に出血斑を生じていることがあり、その後手足や腹部などに赤く小さな斑点状の発疹が表れます。3〜4日すると、舌に赤いぶつぶつができてくることがあり、イチゴ舌と呼ばれたり、数日して手のひらが赤くなったりもします。10日から14日間の抗生剤投与が推奨されているようです。急性腎炎、リウマチ熱を後から合併することもあり、抗生剤内服終了後も注意が必要です。
◆風疹(ふうしん)・三日はしか
ウイルス性の疾患で、38度くらいの熱と発疹が出ます。耳の後ろから首筋にかけてリンパ節が腫れてくるのが特徴で、痛みを伴います。3〜5日で発疹は消え、熱も下がります。三日はしかと呼ばれる理由です。発疹の痕はほとんどきれいに消えてくれます。やはり流行性の感染症なため、春頃に拡がる傾向が強い疾患です。
◆手足口病
ウイルスが原因の感染症で、手や足に発疹、口内炎もできます。ほとんど熱は出ませんが、発熱を伴う型が流行する年もあります。1週間程度でほぼ完治しますが、感染力が強いので注意が必要です。治療法は、安静と対症療法。口内炎を伴うので、食事がしづらくなります。食べやすいメニューを工夫してあげてください。
◆プール熱
正式名称は咽頭結膜炎です。名前の通り、目が充血する結膜炎と喉が腫れる咽頭炎を同時に発症し、熱も出ます。また、プールの水を介して流行することも。高熱は数日続くのが特徴です。また喉の腫れは痛みを伴うため、嚥下(えんか)に支障を来たします。頭痛に吐き気、腹痛や下痢を伴うこともあるので本人にとってはつらい病気ですし、目が真っ赤に充血するので見た目にも痛々しい疾患です。
秋〜冬に気をつけたい病気
◆インフルエンザ
季節性インフルエンザには型があります。近年、同じ年に複数の型が流行することも確認されています。高い熱を発し、咳も出ます。全身の痛みや倦怠感も強いので、しっかりと安静にしておくことが重要です。予防投与できる薬剤もありますが、副作用が疑われる事例も起きていますので、かかりつけの主治医とよく相談してください。重症化すると、肺炎や脳症、髄膜炎などを併発します。
◆ウイルス性胃腸炎
代表的なものは、ロタウイルスとノロウイルスです。どちらも1〜2日の潜伏期間を経て発症します。激しい下痢と嘔吐(おうと)が主な症状ですが、ロタウイルスの場合は便が白く濁るのが特徴です。嘔吐と下痢で脱水症状を起こしがちになりますので水分の補給が欠かせませんが、胃腸が弱っている状態を踏まえ、一度に大量の水分を与えすぎないよう注意してください。
また、便や吐瀉物(としゃぶつ)を媒介として感染が拡がる可能性が高いので、処理における衛生管理と事後の入念な手洗いが重要。手洗いについては、家族みんながしっかりと行うようふだんから習慣づけておきましょう。ノロウイルスは二枚貝に潜んでいることが多いので、カキなどを子どもに与える場合、充分加熱することが望ましいです。
通年で気をつけたい病気
子どもの病気は多岐に渡るため、ここでご紹介できるものはほんの一例に過ぎません。お子さまの健康状態や病気について気になることがありましたら、お早めにかかりつけの先生とご相談ください。
◆川崎病
原因不明の病気で、冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)を併発したり急死を招いたりします。早期の診断と治療が必要な重病で、4歳児以下の乳幼児に多く見られます。初期は発熱と咽頭部の発赤や腫れが主な症状なので、風邪かなと思うことも。ところがやがて首部分のリンパ節が大きく腫れてきます。また目や唇が染色したかのように赤くなり、手足も赤くなってパンパンに腫れてきます。高熱も続きます。
最も恐いのは、心臓の周囲を取り巻く冠状動脈に後遺症が残ること。相当の時間を経過してから、後遺症が症状として出現することも懸念されるため、経年的予後の観察が必要です。実際のところまだまだわからないことが多く、今なおデータを収集している疾患です。
◆気管支喘息
喉から下に空気を通す気道が気管で、そこから左右に分かれて肺に入っていく管が気管支です。気管支喘息はこの気管支が炎症によって細くなり、空気の通りが悪くなって呼吸困難を来たす疾患のこと。呼吸する際「ヒューヒュー」という音を発するのが特徴です。原因は明確に特定できない場合が多いですが、アトピーやアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患、あるいは上気道炎や気管支炎などの風邪症候群が気管支に炎症を起こすことが要因であろうと考えられています。
原因の特定が難しいので、対症療法が中心です。発作が激しい場合、ネブライザー吸入などの治療を施しても気管支が開かず、呼吸困難が続いて意識レベルが低下したりします。ペットの毛やダニなどのハウスダスト等、日常の生活からアレルギー因子を除去し、できるだけきれいな環境で暮らすことも重要です。また近年では花粉症の低年齢化も進んでいますので、喘息の子どもには花粉症対策も重要なテーマとなってくるでしょう。