「○○しないと怒るわよ」はNG! 言うことを聞かない子どもに脅しは厳禁と専門家
幼児期の困った行動には、子どもの気持ちに寄り添うことが大切だ……と、頭で理解していても、忙しい日々の中では、なかなかうまくいかないことも多いもの。そこで、ベネッセ教育情報サイトでは、子どもとの関わり方について、世田谷子どもクリニック副院長であり、臨床心理士の帆足暁子氏に話を聞いた。
***
お子さまが「なかなか言うことを聞かない」とお困りの保護者のかたは、多いと思います。たとえば、お風呂の時間なのに遊び続けている場合、「お風呂に入らないと怒るわよ」「もう知らない、一人で入りなさい」と言ってしまうことがあるかもしれません。しかし、お子さまに脅しをかけて行動を促すのは、よいことではありません。たとえ、お風呂に入ったとしても、脅されて怖いから従っているだけで、自分の気持ちを抑えてしまっていることが多いのです。自分の思いを出しているだけなのに、「脅されて従う」ことが続くと、家庭で自分の気持ちを出せないようになり、脅されない保育園や幼稚園で反抗的な態度をとるようになってしまいます。
お子さまに行動を促すためには、感情的にならず、まず保護者からきちんとなぜなのかを話してみましょう。「遊びたいのはわかるけれど、汗をかいたからお風呂に入ったほうが気持ちよくなるよ」といった具合です。それでも聞かない場合は、「5分だけ延長ね」と子どもに譲歩するのもよいと思います。ここで大切なのは、さらに譲歩しないということです。さらに遊びたいと言うなら「お風呂か遊びかどっちか選んでね」と伝えて、子どもに選択をしてもらいます。お風呂であれば、1日ぐらい入らなくても問題ありませんからね。
子どもをしつけるには、このように「言葉に意味を持たせること」がとても大切です。育てにくくなるのは、保護者の言うことと行動が一致していなかったり、状況によってコロコロ変わったりするなど、言葉に意味を持たせないからです。「昨日と今日、言っていることが違う」「だだをこねれば許してくれるだろう」と思えば、子どもはますます制限なく要求をしてくるようになるのです。その結果「わがまま」になって、育てにくいと思ってしまいます。
出典:幼児期の困った行動への関わり方【後編】 -ベネッセ教育情報サイト