専門家に聞く「子どもが医療を受ける際の心構え」

専門家に聞く「子どもが医療を受ける際の心構え」医療技術の進歩とともに治療方法が多様化している現代、子どもが成人するころにはその技術はさらに進歩していることだろう。子どもの時から、必要が生じた場合に医療とどう関わるかを理解しておくことは大切だ。患者と医療に関わる人とのよりよいコミュニケーションを目指して活動する、NPO法人ささえあい医療人権センター COML(コムル)の山口育子氏に、子どもが医療を受ける際の心構えについて聞いた。

 

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「インフォームド・コンセント」とは、医師が病状や検査の結果、治療の内容についてわかりやすく説明し、患者の同意を得ることです。患者が主役になって医療を受ける基本的な考えです。患者は、受けた説明内容を理解する努力をしたうえで、自分が受けたい医療を考え、選ぶことが必要です。

 

日頃は元気な子どもでも、風邪や腹痛、けがなどのため、医師から診察を受けることはあると思います。そのような時、子どもが主役となって医療と関わるには、医師とのコミュニケーションが大切になってきます。現在ではインフォームド・コンセントの必要性が浸透してきたこともあり、きちんと説明してくれる医師がほとんどです。それは、子どもに対してでも同じです。

 

たとえば、風邪をひいた時でも症状はさまざまで、自覚症状は本人にしかわかりません。保護者はつい、「子どもに言わせると時間がかかったり、きちんと伝えられなかったりするのでは」と心配し、代わりに伝えようとします。医療機関を受診する際は、ぜひ子ども自身が自分で医師に症状を伝えられるようサポートしてあげてください。「いつから熱が出て、今どのようなことがつらいのか、どう変化したのか」ということを家で練習し、医師の診察を受ける時には保護者は一歩引いて子どもを主役にしてみてください。すると、医師も保護者ではなく、子ども自身に向き合ってくれるようになり、子どもも病気を自分の問題としてとらえることができるようになります。

 

出典:自らが主役となって医療と関わるために、子どもに伝えたいこと【前編】 -ベネッセ教育情報サイト

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