問題行動を起こす子ども 裏に隠されたメッセージを読み解け、と専門家
「家庭では素直で問題ないのに、学校では問題行動が多くて困る」、「成績も生活態度もいいのに、突然万引きをした」など、子どもの突然の問題行動に戸惑う保護者もいるだろう。少年非行に詳しい立正大学社会福祉学部教授の村尾泰弘氏に、子どもが問題行動を起こした場合の対応策について教えてもらった。
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わたしは以前、家庭裁判所に勤務していました。多くの非行少年たちと向き合う際に心がけていたのが、子どもがどんなストレスを抱えているのか、その原因を突き止めることです。行動を良い・悪いの観点で考えるのではなく、子どもの声に共感してあげることです。
たとえば、「オヤジをぶっ殺してやりたい」など暴言を繰り返す男子中学生。多くの保護者は「殺すなんて言ってはいけない」と注意したくなると思います。しかし、わたしはこの子は、「お父さんにもっとわかってほしい、お父さんにもっと愛してほしい」と願い、それがうまくいかず暴力的な言葉を使っているのだと考えました。そのため、「なぜそう思うのか?」を聞くことに徹し、「お父さんは仕事ばかりしていて、自分のことを見てくれていない」という本音を聞くことができました。
このように非行行動の裏には、子どもからのメッセージが隠されていることが多いです。叱っても改善しない場合は、非行行動を責めたり、注意したりする代わりに「なぜそのような言動をとるのか」その理由を一緒に考えてほしいと思います。
話し合う中で、「自分の言動に問題があったのかもしれない」と、保護者自身を責めてしまうかもしれません。しかし、子どもの問題行動は、家族間のコミュニケーションが、何らかの事情で息苦しい状況になっているため、ストレスを抱えてしまっていることが原因です。
問題行動が起こる前の子どもの人間関係、家族のコミュニケーションについて振り返ってみましょう。きっと解決するカギがあるはずです。