食物・栄養学ってどんな学問?学ぶ内容や関連する職業についても紹介!

食物・栄養学は、食品やその栄養、調理法、食生活などを研究する学問です。食生活と病気の関係や、年齢・症状などに合わせた食事などの知識や技術も生み出しています。卒業後は栄養士や管理栄養士の資格を活かして食の安全を守る仕事に就く人が多く見られます。

食物・栄養学とは?

食物・栄養学は、食品や食品の持つ栄養、安全な保存・加工・調理の仕方、栄養価が高くおいしい食べ物として提供する方法などについて研究する学問です。

健康に成長・生活していくために、どのような栄養素が必要なのかは、人間が生きていく中で無視できない問題。それらの栄養素はどのような食品から摂取するべきかも、とても重要です。栄養的に偏った食生活に気づかないまま過ごしていると、いずれ病気になってしまうこともあります。

食物・栄養学は、年齢・体調・病状などに応じた食生活とはどんなものなのか、食べてもらうためにどうやって美味しく調理するかといった実際の生活で活用できる知識や技術を多く生み出しています。

飽食の時代と呼ばれる現代日本において、バランス良く食べることの重要さを再確認し、実践するためのノウハウを伝える栄養士などの専門的な指導者は、よりいっそう必要な存在となるでしょう。

食物・栄養学の主な分野と学ぶ内容

食物・栄養学は、主に次の3分野に分けることができます。

・ 食品学:食品の種類ごとに、栄養成分、味や香り、安全な取り扱い方、加工技術などを研究
・ 調理学:食品の調理方法、味や色彩を生かした「おいしさ」、成分の働き、味の嗜好(しこう)調査などの研究
・ 栄養学:食事や食品に含まれる栄養素が、生物の中でどのように生かされるか、人々がどのような食生活をもっているかなどの研究

食生活は人の健康を支える大変重要なものです。栄養バランスが崩れれば体調不良を招くだけでなく、大きな病気につながったり、その後の生活に支障がでたりすることも珍しくありません。

成長期であればどんな栄養素をどれだけ摂取するべきか、どの栄養が不足した場合にどんな病気になる可能性があるかなど、人間の食事と健康の関係をさまざまな視点で学びます。

食物・栄養学の講義・カリキュラム・時間割例

食物・栄養学では1年次に基本的な知識を学び、学年が上がるにつれて細かな知識や技術を身につけていきます。実習・実験もたくさん履修することになるでしょう。

食物・栄養学のカリキュラムと授業内容

食物・栄養学では、食品・栄養・調理の3分野に関する科目を中心に履修します。各分野に関連する代表的な科目は、以下の科目です。

・ 食品学:食品材料学、食品加工学、食品衛生学、食品評価論など
・ 調理学:調理科学、食品加工学、食事計画など
・ 栄養学:臨床栄養学、公衆栄養学、成人栄養保健論、給食計画論など

他にも主要科目として食生活論や食生態学、生化学、食品微生物学などが見られるでしょう。

1年次は基本知識を学ぶ科目として解剖生理学など人間の身体のしくみや臓器の働きについて学び、2年次は食物や栄養について詳しい知識を身につけていくイメージです。

また、食の文化や歴史について学ぶ「食文化論」「食物史」「比較食文化論」、食品の製造や開発、外食産業と経済を交えて考える「製品開発論」「食資源論」「食料経済」など、食べ物、食事をもっと大きな枠でとらえた科目もあります。

多くの科目で実習・実験があり、大学によっては特別講師にプロのシェフが招かれることも。日常生活ではなかなか扱えない大きな食材や高級食材を調理する授業も見られます。

3年次は、週のほとんどが実習や実験で埋まったという例も少なくありません。

食物・栄養学の時間割の例

ここで、実際に食物・栄養学を専門とする先輩の時間割例を見てみましょう。

先輩の時間割では、週に3回の実験が入っています。実験は2コマ〜3コマ続く形で設定され、毎回長時間取り組んでいることがわかります。

実際どのような時間割になるかは、大学や学年、専門としたい研究分野によって異なります。1・2年次は食物・栄養学で必修の専門基礎科目とともに一般教養科目を履修する大学もありますので、大学のカリキュラムをじっくりチェックしてみてください。

食物・栄養学を学んだ人々が取得できる資格と卒業後の進路

食物・栄養学を学ぶことで、栄養士、管理栄養士、フードスペシャリストなどの受験資格を得ることができます。在学中にそうした資格を取得し、卒業後は給食センター、病院、学校、保健所、食生活アドバイザーなど、食の安全を守る仕事に就く人が多いでしょう。

一方で、フードコーディネーターとして活躍する人、食品や飲食関係の仕事で加工食品、健康食品、メニューの開発に携わる人、料理関係の出版社に就職する人などもいます。

給食センターや病院で働く管理栄養士・栄養士

栄養管理士は国家資格の1つで、病気のかたや高齢のかた、通常の食事をとりにくい方も含む、さまざまな人に合わせて専門的な知識と技術による栄養指導、給食管理、栄養管理を行う役割を担っています。

栄養士の資格は都道府県から認められるもので、主に健康に問題のないかたへの栄養指導などを行います。

給食センターで働く場合、小中学校を中心に提供する学校給食のために栄養素を計算しながら献立をつくり、給食を提供するのが主な仕事です。他に、子どもたちへの食育、食生活に関する指導などを行うこともあるでしょう。

病院で働く場合ば、医師・看護師・薬剤師などと連携しながら、患者さんそれぞれの状態に合わせて食事の提供、栄養指導を担当します。

食生活アドバイザー

食生活アドバイザーの仕事は、健康的な生活を送るために食生活全般についてアドバイスをすること。世の中に溢れるさまざまな情報の中から、的確な情報、必要な情報を分かりやすく伝える存在でもあります。

仕事内容は多岐にわたり、飲食業界や食品メーカーで働くかた、介護施設の相談員、料理教室などで働くかたなどがいます。

フードコーディネーター

フードコーディネーターも幅広い分野で活躍する人が見られる職業です。
食品やメニューの「開発」に関わるかたもいますし、写真や映像の撮影で使われる食品の見栄えがよくなるようにコーディネートする「演出」に携わるかたもいます。

また、自ら飲食店や料理教室を経営・運営する、食育プログラムを手がけるかたも見られます。

加工食品やメニューなどの開発

食品の開発には、調味料、冷凍食品、パスタソース、お惣菜など、私たちが日常で便利に使っている加工食品などの開発や、レストランなどのメニュー開発があります。

加工食品開発では、試作調理やサンプルの試作、評価を中心に、食品の分析やデータのとりまとめなどの業務、食品などの品質管理業務などがあります。

食物・栄養学を学べる大学選びのポイント

食物学や栄養学に関わる学部・学科を設置している大学は、そのほとんどで栄養士の資格、管理栄養士の受験資格取得に向けたカリキュラムを設けています。

ただ、資格取得がメインとなるコースと、食物・栄養の研究がメインとなるコースは分かれている場合が多い様子。資格を取得して就職を目指すのか、研究職を目指すのかを意識して選びましょう。

また、保健学の1分野として栄養学を学べる大学もあります。その場合、医学・保健面からのアプローチになるため、食物・栄養学でイメージしていた内容とはズレが生じるかもしれません。保健学の中で学ぶ場合は、研究内容を吟味した上で志望校を決めましょう。

食物・栄養学を研究できる大学院は、これらの学問を学べる大学の半数程度に設置されています。多くは修士課程までですので、博士課程まで進みたい場合は大学院の情報もあわせて調べるとよいでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

食物・栄養学は食事と健康に関わる重要な学問。食品の特徴や調理法、安全性、衛生管理といったさまざまな視点で食を研究しています。

卒業後は、その知識や技術を活用しながら調理や食育の現場で活躍する人が多く見られます。給食センターや病院、行政機関、食品メーカー、飲食店、メディア関係、料理教室など、職場もさまざまです。

将来就きたい職業を意識しつつ、学部・学科で学ぶ内容、大学院の有無を見てみましょう。

出典:
食物・栄養学|マナビジョン
https://manabi.benesse.ne.jp/shokugaku/learning/system/026/

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