2012年度入試問題を振り返る<算数>[2012年度入試で何が問われたか<算数> 首都圏上位10校の問題を徹底分析 第1回]

 首都圏上位10校の入試問題を、1問1問、(1)難易度、(2)要求される能力、(3)目新しさという3つの軸から分析。その中から「合否を分けた問題」「合否に影響のなかった問題」「低学年でもじっくり挑戦させたい問題」はどの問題だったのかを、宮本算数教室の宮本哲也先生にお話しいただきました。

※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの宮本先生の講演を抄録したものです。



2012年度入試問題を振り返る<算数>

●入試問題は学校からのメッセージ
 入試問題は、その学校の適性試験でもあります。ですから、これからご紹介する入試問題には学校からのメッセージが込められています。それを、ぜひ感じとっていただきたいと思います。簡単に言ってしまうと「こういう問題が解けるお子さまがほしい」ということなのですが、そのひとつ前の段階として「こういう問題が楽しめるお子さまがほしい」「そういうお子さまと接したい」「そういうお子さまを相手に授業をしたい」ということなのです。

 適性というのは6年生の2月に決まるわけではありません。入試問題には低学年のお子さまでも取り組める問題があります。たとえ答えが出なくても、そういう問題に10時間取り組めるお子さまであれば適性があるといえます。その学校に迎え入れられる資格があるということです。逆に6年生で偏差値が70あっても、「こんな問題見たことないからできるわけない」「ヒントちょうだい」と思ってしまうお子さまには適性がありません。

 それでは、そういうお子さまの適性は変わることがあるのでしょうか? 

 あるとすれば、それは保護者のかたが引くことです。保護者のかたが一歩引くことで、お子さま自身が積極的になり、自分で物事を考え、適性が変わることはありえます。
 生まれつき勉強が嫌いなお子さま、算数が苦手なお子さまというのは存在しません。保護者のかたが余計なことをして勉強嫌いにさせてしまうのです。お子さまを勉強嫌いにさせないでください。できる限り保護者のかたは何もしないことです。

 それでは次回から、各中学校の入試問題の分析に入ります。どういう時間配分で問題を解けばいいのか、とるべき問題と捨てるべき問題はどれか、いかにして巧妙なワナを見抜くか、また低学年のお子さまにやらせる価値のある問題はどれか、そして最も大切な、それぞれの学校の問題のリズム、テンポ、カラーというものを感じとっていただきたいと思います。


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