中学受験へのアドバイス「失敗」と「成功」をふまえて(1)[中学受験合格言コラム]

中学受験のスタートで「失敗」したととらえた方々は、子どもの意思を尊重しようとして、スタートをうまく切れなかったというかたと、購入したサービスが不適切だったというかたに分かれるように思う。
一方、スタートを「成功」だったととらえた方々の一つのタイプは、姉や兄で経験済みであったこと、あるいは子どもが学校でもの足りなく感じ始めていた機会をとらえて通塾を始めていたり、早めに準備を始めていたりといったケースが多く見られる。

ところで、「失敗」のケースでも、実はなかなか大変な難関校に合格されている場合も多い。
つまり「あれは失敗だったね」と、一種の余裕をもって振り返ることができているので、「失敗」を引きずってしまうことはなかったということだろう。

とりわけ「成功」ケースで見受けられる「長男長女で経験済み」という強みは、長男長女の受験時の失敗を踏まえて、同じ失敗を繰り返さないよう早め早めに手を打つという点がよい。しかし失敗と同様に、そのものに気付くことが実はなかなか難しい、ということでもある。
だから恐らくすぐにでもできることは、子どもの日々の様子をよく観察してその気持ちを救うように、それに適したサービスを購入することだと思う。

この機会に申し上げておきたいのは、子どもが納得したうえで、あるいは自発的な意思で通塾をすることは大切だが、これは相当に環境による。従って本人に理詰めで話をしてたからといって、よく伝わることではない。
むしろ、友達が楽しそうに行っているなどの理由で、気付いたら塾に行くようになっていた、など親の故意犯的(と言うと悪いことのようで気が引けますが)な誘導でもなければ、いくら10歳前後だとはいえ、親の思いどおりにはならないもの。むしろ大きな愛に包まれて、安心して親の誘導に子どもが身を委ねるというのが真実なのではないだろうか。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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