5ステップで読書感想文がスラスラと書ける!【後編】

読書感想文は、学力やセンスによるものではなく、しっかりと技術的なことを押さえれば、誰にでも書くことができるといいます。引き続き、国語専科教室代表の工藤順一先生がアドバイスをします。


【STEP3】本のあらすじを整理しよう

 教師によっては、あらすじを書くことを禁止する場合があるようです。これは、あらすじに終始する読書感想文が多いことに対する苦肉の策でしょう。しかし、本来の読書感想文のねらいは、「その本を読んだことがない人に対しておもしろさを伝える」ことです。ある程度、あらすじが書かれていないと本の内容は伝わりませんから、私はあらすじを書くことを推奨しています。同じ本でも、子どもによってあらすじの内容は大きく異なります。着目するポイントには、既に子どもの感想が表れていると言えるでしょう。

 

あらすじの整理にはコツがあります。それは、「はじめ」「なか」「おわり」の3つにまとめることです。

 

「はじめ」……物語の舞台や登場人物の説明

「なか」……物語の中で起こるできごとの説明

「おわり」……できごとの結果として起こる反応の説明

 

このうち、最初に「はじめ」と「おわり」を書き、「なか」は最後に記入するのがポイントです。「はじめ」「おわり」を明確にすると、内容が多くなりがちな「なか」に書くべきことが絞りやすくなるからです。『シンデレラ』の物語を例にして説明しましょう。

 

「はじめ」……シンデレラは継母や姉たちにいじめられて、不幸な生活を送っていました。

「おわり」……シンデレラは王子に愛されて妃となり、幸せな生活を送るようになりました。

 

次に、「なか」を書きます。登場人物が「おわり」で変化するきっかけとなった大きなできごとに焦点を当ててください。

 

「なか」……あるとき、不思議な力に助けられ、城で開催された舞踏会に参加したシンデレラは、王子に見初められました。しかし、夜12時までに帰らねばならず、泣く泣く城を後にしましたが、帰り際に階段に靴の片方を落としたことで王子から見いだされました。

 

どのような物語でも、必ず「はじめ」「なか」「おわり」の3つに整理できることを覚えておいてください。また、あらすじを書くことで、文章を要約するという重要な力も育ちます。

 

 

【STEP4】感想を整理しよう

 次に、本を読んで感じたことや考えたことを振り返り、自分の言葉でまとめます。その際は、【STEP2】の書き込みを参考にしてください。この段階ではメモ書き程度でかまいませんが、ここで豊かな感想を引き出しておくことで読書感想文の内容が深まります。その本を通して、どのように感じたり考えたりしたか、以下の視点から振り返ってみましょう。保護者が質問して対話形式で引き出すのもおすすめの方法です。

 

(1) この本とどうやって出合いましたか。どうしてこの物語を選びましたか。

 

(2) 心に残ったところ、感動したところはどこですか。それはなぜですか。

 

(3) 「好きだな」と思う登場人物、または場面はありますか。どうしてそれを好きだと思いましたか。

 

(4) 「いやだな」と思う登場人物、または場面はありますか。どうしてそれをいやなのですか。

 

(5) 同じような経験やこの物語から思い出した経験はありますか。それはどんなものでしたか。

 

(6) この物語から思い出した他の本、ニュース、テレビ番組はありますか。それはどんなものでしたか。

 

(7) もしあなたが登場人物になったらどうしたと思いますか。なぜそうしますか。

 

(8) お父さんやお母さん、友達の意見はどんなものでしたか。

 

(9) 作者はどんな人ですか。このお話はいつ、どこで書かれましたか。またはいつ、どこで起こった事実や人物が書かれていますか。

 

(10) 作者が言いたかったことは何だと思いますか。その考えについてどう思いますか。

 

(11) この物語を読んで、新しく学んだことや気づいたこと、自分の考えが変化したところはありましたか。

 

(12) 「なぜ?」または「わからない」と感じた部分はありましたか。それはどんなものですか。

 

全ての項目を詳しく書く必要はありません。2つか3つの項目の内容だけでも原稿用紙は十分に埋まるはずです。

 

 

【STEP5】文章の構成を考えよう

 【STEP4】までの作業で、読書感想文に必要な素材は全て出揃いました。次に構成を検討します。まず、この読書感想文で最も伝えたいことを考えてください。それは、きっと本を選んだ理由と深く関係するものになるでしょう。

 

次に、それを伝えるために、【STEP4】で書き出した感想のうち、どれを使用するかを考えます。そして文章のつながりを意識しながら、次のように番号を書き出してください。関係のない話や内容の繰り返しは省きましょう。

 

(本の情報)⇒(あらすじ)⇒(5)⇒(2)⇒(10)⇒(12)

 

このように文章の構成を決めたら、いよいよ書き始めます。原稿用紙を埋めることだけが目的ではありませんが、本の情報とあらすじを記入したら、おそらく半分前後は埋まっているでしょう。その後に文章の流れがスムーズになるように感想を書いていきます。【STEP4】の質問では、意見に対する理由も聞いていますから、しっかりと書くようにしましょう。

 

5つのSTEPさえ押さえれば、「何をどのように書くか」に悩むことはないはずです。「本の感想を誰かに話す」というつもりで、リラックスして楽しく書くようにしましょう。

 

 

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プロフィール

工藤順一

工藤順一

国語専科教室代表。1949年青森県生まれ。大手学習塾講師などを経て、1997年、国語専科教室を設立。読書や作文の指導を通して、本好きな子ども、自分で考える子どもの育成に努める。『書きこむだけで読書感想文がすらすら書ける』(監修/合同出版)、『これで考える力がぐんぐんのびる!! 国語練習帳』(合同出版)、『文書術—読みこなし、書きこなす』(中央公論新社)など著書多数。

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