2020年4月から、小学校での「プログラミング教育」はどんな授業が行われる?
「プログラミング教育」が始まる理由とは?
これからの子どもたちが生きる社会は、グローバル化、AIの進展などにより、大きく変化していきます。そんな予測のつかない社会において求められるのは、様々な課題に対して、多様な人と協働・共創していく力です。
知識・技能だけではなく、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性が資質・能力として重視され、2020年度4月から、小学校で新学習指導要領が導入され、学校教育も変わっていきます。
新たに始まる学びの1つが「プログラミング教育」です。自動車や家電など身近な生活ですでに多くのコンピュータが搭載されており、情報機器や情報サービスを利用することは当たり前になりつつあります。それらの仕組みを理解し、目的に合わせて適切に活用し、社会の課題を創造的に解決する力を身に着けることが目的です。
プログラミングという教科ができるのではなく、各教科や総合的な学習の時間の中で、「プログラミング的思考」という論理的な思考を身につけることが目指されていきます。
授業で「プログラミング的思考」をどう育てるのか
「物事には順番がある」「物事は切り分けることができる」ことを、身近な生活の体験と結び付けて身に着けていくことが小学校でプログラミング的思考を育むことにつながっていきます。そうした学び方を通し、プログラミングは、社会や世の中の課題解決のためにあるという本質を体験的に学ぶことにもつながります。また、プログラミング的思考は、教科で学ぶ内容をより確実に理解することを目的に、各教科の中でも取り入れられていきます。
では小学校の授業の中で、どのように学んでいくのでしょうか。理科「電気の性質」を学習したあとで、「信号機」をとりあげる授業例を紹介します。「コンピュータやプログラミングの働きが社会で役立っていることに気づく」ことをねらいとして、信号機のしくみを調べたり、実際に簡単なプログラムを作って確かめたりする学習が行われます。
例えば「学校の前の横断歩道に信号機を設置するとしたら、どんなプログラムがよいか考える」など、具体的な利用場面を考えることよって同じ信号機でも場所によってプログラムが変わってくることに気づきます。青信号を点灯させる時間を決めるにも、横断歩道の長さや登校時間、下校時間の配慮など、様々なことを考える必要があることに話し合いの中から気づいていきます。その目的、意図通りに信号機を点灯させるにはどうプログラムすればよいのか、みんなで話し合ってフローチャートを作成していきます。このときに「順次」「繰り返し」「条件分岐」などのコンピュータの基本的な考え方も学んでいきます。最後にPCやタブレットなどを使って、考えたプログラムを実際に組んでみて意図通りに動くかどうか試行錯誤をくりかえして、完成させていきます。
プログラミング教材の開発者に聞く、プログラミング的思考の伸ばし方とは?
新しいことや、難しそうなことでも、学ぶことを“嫌いにさせない”ということがポイントです。まずは、子どもたちが「楽しい!」と思えるようなきっかけを作っていただけるとよいのではないでしょうか。
ご家庭でも、前述の信号機の授業の例のように、身近な生活の中でコンピュータが活用されていることを話題にすることで興味関心のきっかけになります。子どもたち、とくに低学年の子供たちは、自分が体験した「結果」だけを見がちです。なぜその「結果」がおきたのか、何をしたときにそうなったのかを考えることで、しくみに興味をもつようになります。例えば、自動ドアはどこまで近づいたら開くのか、近づいたことはどこで検知しているのかなど、いつも身の回りにあるものについてよく観察したり、考えたりすることで、興味関心が育っていきます。ロボット教室に連れて行ったけれど、興味がなさそう・・・という場合にも、自動ドアの例のように身近な生活にある「しくみ」や「工夫」について考えるきっかけをつくることでも子どもたちの視野は広がっていくと思います。
(ベネッセコーポレーション「進研ゼミ」プログラミング教材開発担当責任者 西村裕子)
「進研ゼミ 小学講座」で楽しく学ぶるプログラミング
「進研ゼミ」の学習専用タブレット(チャレンジタッチ)や、Webにアクセスできるパソコンで学ぶデジタル教材を受講費内でお届けしています。プログラミング、情報モラル、情報デザインの3つのテーマで、ゲーム要素も取り入れながら、子どもたち自身が楽しみながら学んでいくことができます。
プログラミングでは、「はじめてのプログラミング」と「教科と連動して学ぶプログラミング」の大きく2つをご用意し、プログラミングの考え方の基本から、教科の学びを深める内容にも取り組めるようになっています。教材の中では、目的をより効率的に達成できると花丸がもらえる評価機能も盛り込み、試行錯誤を通じて、自分で気づきを得られるような体験を繰り返しながら、自然とプログラミング的思考を身に着けられるような教材になっています。
また、オプション講座の「かがく組」(小学3・4年生対象コース)でもプログラミングを学ぶことができます。毎月の冊子でプログラミングが冷蔵庫や回転寿司のセンサーなどを取り上げ、生活を便利にするためにどう活かされているかを紹介したり、家族や友達と一緒に楽しめるよう、カードゲーム形式で学べる教具を開発し、一緒にお届けしています。
他にも、もっと深くプログラミングを学びたいかたにも取り組んでいただけるよう、「イマクリ」というWeb教材をご用意し、Scratchを使った自由な表現活動ができ、自分でオリジナルの作品をつくることもできます。