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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 耳・鼻・のどに関すること
泣きすぎで声がかれてしまい、耳鼻科で声帯を見てもらうと、白く炎症を起こして「白斑」と言われました。この症状は本人は痛みを感じているのでしょうか。
大きな声で怒ったら激しく泣き、その後もずっと泣き続けていたせいか、翌日から声がカスカスになってしまいました。
耳鼻咽喉(いんこう)科で声帯をカメラで見てもらうと、白く炎症を起こし、ひどい炎症で、2〜3週間はかかる(白斑:はくはん)と言われました。この症状は、本人は痛みを感じているのでしょうか? もらった薬は、気道粘膜修復薬と鎮痛解熱薬、吸入用ステロイド薬でした。この吸入用ステロイド薬は、1歳9ヵ月の子が使用しても大丈夫でしょうか。
今回は、泣きすぎだけではなく、のどに菌が入ったのだろうと言われています。このまま薬を服用して様子を見ていればよいでしょうか? 日常の生活はあまり大声で泣かせないようにと言われました。
声帯に強い炎症を生じた状態のようですので、のどの炎症を抑える薬で治療しますが、同時に、炎症を起こした声帯への刺激を避けるために、大声を出さない、できるだけしゃべらないなど、のどの安静を保つことも重要です。
一般に声帯の「白斑」と言えば、成人の前ガン状態の病変を考えるのですが、炎症のせいで声帯全体に付着した炎症性分泌物(口内炎などで唇やほおの粘膜にできる白いかさぶたのようなもの)を、耳鼻科の医師が見た目の印象から「白斑」という言葉で説明されたものと想像します。
お子さんに限らず、声の使いすぎで、声がれを生じることは珍しいことではありません。
特に、風邪などでせきがたくさん出ているようなときには、せきによって声帯の粘膜により多くの負荷がかかりますし、のどの粘膜が炎症を起こしている場合は、同じ刺激が加えられても炎症がより重症になりやすいと考えられます。
ご相談のお子さんは、診察された耳鼻科の医師が言うように、のどに炎症を起こしかけているときに、大声で泣いて声帯に過大な負荷をかけたために、声帯全体に強い炎症を生じたものと考えられます。通常の炎症では粘膜が赤くなったり、軽くはれたりする程度で済みますが、「白斑」状に見えるほどの炎症性の分泌物があれば、消失するのにおよそ2〜3週間はかかるものと思われます。
ただ、小さなお子さんでも、のどに「乳頭腫(にゅうとうしゅ)」というできものを生じることがごくまれにはありますので、声がれの症状が長く続くようであれば注意が必要です。
また3〜4歳ごろには、日常生活で大声を出す機会の多いお子さんで、声帯結節ができて声がれを生じることもありますが、この場合は、発声を自分でコントロールできる年齢になると改善してくることが多いようです。
ご相談のお子さんの場合、「白斑」そのものは通常痛みを伴わないのですが、声帯の炎症が原因のようですので、ある程度の痛みはあると考えられます。また声帯の炎症が刺激となってせきを繰り返すこともあるかと思いますが、その際も周囲ののどの粘膜を刺激して、痛みを生じている可能性があります。
治療は炎症を抑える薬を使うことに加え、しゃべらない、できるだけ声を出さないなどのどの安静を保って、刺激を避けることが重要です。ステロイドの吸入は、じょうずに使えば炎症をより早く改善させる効果が期待できますし、副作用の可能性もほとんど心配ないのですが、無理に使わなくてもよいでしょう。