「行動できる子」にする育て方【後編】

京北幼稚園園長の川合正先生が長い教師生活の中で感じたこと、起こったことに基づいて、前編では、なぜ今「行動できる子」を育てることが必要なのかをお話ししていただきました。
後編では、ご家庭でできるアクティブ・ラーニング(「行動できる子」を育てるための学び方)について具体的に教えていただきす。



お手伝いを通じて「3つのタイ」を満たしてあげる

「認めてもらいタイ」「ほめてもらいタイ」「役に立ちタイ」--子どもは、この「3つのタイ」が大好きです。この「3つのタイ」を活用させる一番簡単な方法は「お手伝い」です。保護者のかたのなかには、子どもにお手伝いをさせると、時間はかかるし、かえって手間が増えるとお考えのかたは多いかと思います。
しかし、失敗を繰り返したり、自分なりに工夫してやってみたりすることが、「行動できる子」になる子どもの成長につながるのです。
そして、保護者のかたは、お子さまの「3つのタイ」に対して、「認める」ことを大切にしてください。「あなたがいるから、お母さんは幸せだよ!」「あなたは家族の大切な宝物だよ」など、言葉はなんでもよいのです。認められたり、ほめられたりすれば、お子さまはもっといろいろなことにチャレンジしてみようと思うはずです。



家族でキャンプの準備をしよう

家族でキャンプに出かけるのもよいでしょう。ポイントは、保護者がすべて準備をしてあげるのではなく家族で役割分担をすることです。たとえば、お父さんはウェアを用意する、お母さんは調味料を用意する、子どもにはバーベキューに使う肉を選んでもらう……など、なんでもよいのです。忘れたり、失敗したりしてもかまいません。たとえば、お母さんが調味料を忘れてしまったとしても、「あの時、お母さんが調味料を忘れたよね」と、それはきっと楽しい思い出話になるはずです。また、飯盒(はんごう)炊さんでご飯が黒焦げになってしまっても、火の加減やお米の炊ける時の音を覚え、学ぶチャンスになります。失敗すればするほど、学びのチャンスができるのです。



否定的な言葉は、リフレーミング(物事の枠組みをいったん外す)してみる

保護者のかたは、つい我が子のことを否定的に捉えてしまいがちです。これが積み重なっていくと、いざがんばろうという意識があっても、「どうせ努力してもできない」「無理に決まっている」と無意識が応援してくれないため、なかなか行動に移すことができません。否定的な言葉を発しそうになったら、捉えた物事の枠組みをいったん外す、「リフレーミング」をしてみてください。たとえば、こうです。

 ●「うちの子、なかなか行動しなくて……」 → 「うちの子は、慎重な性格だ」
 ●「うちの子、暗いのよね……」      → 「うちの子は、落ち着いた性格だ」
 ●「うちの子、好き嫌いが多くて……」   → 「食べてくれる時が、楽しみ」

もちろん、やってはいけないことに対しては、毅然とした態度で叱らなくてはいけません。
ただ、人間の意識は常にプラス思考です。誰しも、「勉強したい」という気持ちを持っているのです。そこで否定的な言葉を保護者が発してしまえば、お子さまのやる気もなくなってしまいます。ぜひ、前向きなエネルギーにつながる声かけをして、「行動できる子」を育ててあげてください。

『「動ける子」にする育て方』『「動ける子」にする育て方』
<晶文社/川合正/1620円=税込>

プロフィール


川合正先生

東洋大学評議員、東洋大学京北幼稚園園長。東洋大学文学部兼任講師。京北中学校・高等学校、京北学園白山高等学校の前校長。日本私学教育研究所「復興教育支援事業」運営委員。2012(平成24)年度に東京都より教育功労者として表彰を受ける。

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