5ステップで読書感想文がスラスラと書ける!【前編】

 何を書けばよいのかわからない——。読書感想文に苦手意識をもつ子どもたちから、そんな声が聞こえてきます。「感じたり、考えたりしたことを自由に書いていいんだよ」と言われると、ますます途方に暮れる子どもが多いようです。作文指導に特化している国語専科教室を主宰し、『書きこむだけで読書感想文がすらすら書ける』などの著書がある工藤順一先生に読書感想文を書くうえで押さえておくべきポイントを聞きました。


読書感想文を苦手とする子どもが多いワケ

 私の教室に通う児童・生徒にも、初めは読書感想文を苦手としていたお子さまが少なくありません。どうして読書感想文は、他の作文に比べて難しいというイメージをもたれやすいのでしょうか。

 

理由の一つは、「何をどのように書くか」という型やルールがあまり指導されていないことです。長々とあらすじを述べ、最後に申し訳程度に「おもしろかったです」といった感想を書いた読書感想文がよくありますが、これは何を書いてよいのかがわからないまま書いてしまった典型です。他の作文なら、見たことや聞いたことを文字にすれば一応の形になりますが、読書感想文はそうはいかないのです。しかし、きちんと型やルールを学んだ子どもは、必ず読書感想文がスラスラと書けるようになります。

 

 

【読書感想文の基本的な考え方】「感想」だけではなく「意見」を書こう

 読書感想文ですから「感想」を書くのは当然ですが、じつはそこに落とし穴があります。感想というと、「おもしろかった」「びっくりした」といった気持ちの表現になりますが、読書感想文では感想よりも「意見」を書くほうが大切なのです。

 

感想との違いとして、意見は「理由」を述べることが必須です。さらに「具体例」を添えることで説得力は高まります。単純化すると、読書感想文の基本的な要素は以下になります。

 

【意見】
私は、『○○○(書名)』を紹介したいと思いました。

 

【理由】
なぜならこの本を読んで、~~~と思ったからです。

 

【具体例】
たとえば、~~~の部分では~~~と強く感じました。自分なら、~~~だと思います。

 

このように感想を出発点とする意見を述べ、その根拠を示すことで、立派な読書感想文となるのです。【意見】【理由】【具体例】の3点セットは、自分の意見を論理的に主張するための基本であり、読書感想文に限らず、文章全般を書くうえで欠かせない要素です。大学でレポートを書いたり、仕事で相手を説得したりと、大人になってからも役に立ちますので、繰り返し練習して必ず習得しておきたいところです。

 

これより、読書感想文を書くために必要な作業を5つのSTEPで紹介します。

 

 

【STEP1】本の情報を確認しよう

 最初に自分が向き合う本について確認しましょう。奥付を見て、「書名」「著作者名(訳者名・画家名)」「出版社名」「刊行年」などを調べます。書名には作者の伝えたいことが凝縮されていますし、作者について調べ、その本を書いた経緯などがわかると作品への思いが深まります。こうした情報を読書感想文の冒頭に書くと、文章の客観性が高まります。

 

 

【STEP2】できれば本は2回読もう

 本を読むうえで最も大切なのは、真っ白な気持ちで読み進め、心の動きを感じることです。最初は、読書感想文のことはあまり考えず、読むことに集中しましょう。そして2回目は、特におもしろかったり、驚いたり、感心したり……と、心が動いた箇所に書き込みをしながら読みます。本に直接書き込んでもいいですし、図書館で借りた本などの場合は付箋紙を使ってもいいでしょう。この書き込みが、後で感想を整理するための貴重な材料となります。

 

 

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【後編】では、感想の整理や構成を決める方法を紹介します。

 

 

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プロフィール


工藤順一

国語専科教室代表。1949年青森県生まれ。大手学習塾講師などを経て、1997年、国語専科教室を設立。読書や作文の指導を通して、本好きな子ども、自分で考える子どもの育成に努める。『書きこむだけで読書感想文がすらすら書ける』(監修/合同出版)、『これで考える力がぐんぐんのびる!! 国語練習帳』(合同出版)、『文書術—読みこなし、書きこなす』(中央公論新社)など著書多数。

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