「それを言っても子どもは変わらない」質問をどう言い換える?[やる気を引き出すコーチング]

街中で、時折、耳にするお母さんの子どもに対する質問。
「あー、それを言っても、子どもは何も変わらないんだけどなー」と、つい思ってしまう言葉が多く、もどかしくなることがあります。
代表的なものが、
「どうして言うことを聞けないの?」
「どうしてこんなことをしたの?」
「何度言ったらわかるの?」
などです。 
お気持ちはわからないでもないですが、これでは、お互いにストレスが高くなり、逆効果です。ほとんど機能していません。これらの質問を、お互いの解決につながるように言い換えるとしたら、どんな質問ができそうでしょうか。一緒に考えてみませんか。



機能しない質問を言い換えよう

「コーチだったらこんな質問をしてみます」という例を以下に挙げてみました。これらは、この順番に質問しなくてはならないというものではありません。質問のレパートリーを増やしていただくために、切り口を変えて、言い換えの例をいくつかご紹介しています。

(1)「どうして言うことを聞けないの?」を言い換えよう
<純粋に理由を尋ねる質問>に言い換える
「どうしたの? 何かあったの?」
「どうしたいの?」

<子どもの考えを尋ねる質問>に言い換える
「私が言ったことについてどう思った?」
「今、どうすると一番いいと思う?」

<行動を促す質問>に言い換える
「あなたが今、できることは何?」
「まず、どうする?」

(2)「どうしてこんなことをしたの?」を言い換えよう
<子どもの意図を尋ねる質問>に言い換える
「どうしようと思ったの?」
「本当はどうしたかったの?」

<結果についての検証を促す質問>に言い換える
「この結果になったことについてはどう思う?」
「このことでどんな影響があると思う?」

<今後の行動を考える質問>に言い換える
「どうすればよかったと思う?」
「次はどうしようと思っているの?」

(3)「何度言ったらわかるの?」を言い換えよう
<現状を確認する質問>に言い換える
「どこまでわかった?」
「どこまでできているの?」

<子どもの気持ちを聞く質問>に言い換える
「今、どんな気持ち?」
「今、どんなことを思っているの?」

<子ども自身に解決策を考えるよう促す質問>に言い換える
「どうしたらいいと思う?」
「どんなサポートがあったらできそう?」

これらはほんの一例です。ほかにもぜひ考えてみてください。
どんな質問であっても、声のトーンが感情的できついと、詰問になってしまい、機能しにくくなりますので、声のトーンは常に「ニュートラル」でお願いします。



「考える価値のある質問」をする

「今日の講演で印象に残ったこと」として、多くの中高生が感想文に書いてくれることの一つに、「なぜできないのかを考えて悩んでいたけれど、どうすればできるかを考えるほうが大事だと思った」というものがあります。「考えても仕方がないことで悩んでいたことに気が付いた。考える価値があることを考えると前向きになれることがわかった」という感想もありました。
やってしまったことを悔やんだり、できないことを責めたりしても、まったくやる気は起きません。過去は変えられませんから、「次はどうするか?」について考えたほうが建設的でしょう。できないことより、「今、何ができるか?」を考えるほうがよほど価値あることでしょう。そういうところに焦点をあてた質問が「考える価値のある質問」です。
日頃、子どもたちに投げかけている質問について、もし、「こんなことを言ってもしょうがないな」と思われるものがあれば、「考える価値のある質問」にぜひ、言い換えてみてください。結果もお互いの関係性も変わっていくことを感じていただけると思います。

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プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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