日本の少子化は、高い教育費が原因!?

子どもの教育費は、保護者にとって頭の痛い問題です。安く済まそうとすれば子どもの将来が不安になるし、十分かけようとすれば負担が重くなる。誰しもそんな悩みを抱えていることでしょう。そんななか、内閣府の国際比較調査で、日本では子どもを増やせない理由のトップが、教育費負担の心配であることがわかりました。少子化対策の決め手は、案外、家庭の教育費負担の軽減なのかもしれません。

調査は昨年10~12月、日本・韓国・アメリカ・フランス・スウェーデンの5か国を対象に、各国の男女(20~49歳)約1,000人に面接調査したものです。それによると、子どもは最低でも2~3人は欲しいというのが、各国に共通した人々の願いのようです。
日本では、2人欲しいと回答した人は51.8%だったのに対して、実際に2人の子どもを持っている人は28.6%でした。ほかの国でも、欲しい子どもの数より、実際の子どもの数は下回っています。そこで、「さらに子どもを増やしたいか」と聞いたところ、「今より子どもは増やさない、または、増やせない」と回答したのは、日本が47.5%、韓国が43.9%、アメリカが13.5%、フランスが17.7%、スウェーデンが7.4%でした。欧米に比べて、日本と韓国は、子どもを増やしたくても増やせないということがわかります。

「今より子どもは増やさない、または、増やせない」と回答した人に、その理由を尋ねると、日本・韓国・アメリカでは「子育てや教育費にお金がかかりすぎる」がトップとなっています。その割合を見ると、日本は男性44.6%、女性39.5%、韓国は男性73.3%、女性78.3%、アメリカは男性35.0%、女性30.6%となっています。
ただし、アメリカで子どもを増やせないと回答したのは全体の13.5%ですから、教育費負担の問題が、それほど深刻ではないことがうかがえます。それに対して、日本と韓国は全体の約半数が子どもを増やせないと回答しており、その理由を教育費負担と答えたのが日本は約4割、韓国は7割以上に上っていることからも、その深刻さがわかります。
韓国は大学の受験競争が厳しいことで知られており、小さなころから、深夜まで学習塾通いをすることも普通です。一方、アメリカは、大学の授業料が高い一方、返済の必要のない給付型奨学金や、低金利の教育ローンが充実しています。これに対して、フランスとスウェーデンの大学は、授業料が原則無料となっています。日本の保護者は、韓国ほどではないにしろ、重い教育費負担にあえいでいると言えそうです。

経済開発協力機構(OECD)の調査によると、教育機関への公財政支出の日本の国内総生産(GDP)比率は、小・中学校などの初等中等教育が2.5%(加盟国平均3.5%)、大学などの高等教育が0.6%(同1.2%)で、韓国よりも低く、加盟国中最低クラスとなっています。少子化の問題には、各国の文化的・社会的な背景など、さまざまな要因がありますが、日本では、教育費を家計負担に頼り、給付型奨学金もほとんどないことが、少子化をますます進めている原因の一つであることは、確かなようです。適正な形での教育に対する公財政支出の増加、大学を中心とする給付型奨学金の充実などが求められます。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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