『友達やクラスのみんなにおみやげを買いたい』と言うが……?【前編】[教えて!親野先生]

今週の相談

 

家族旅行に行った時、小学3年生の娘が「友達におみやげを買いたい」と言い出しました。仲の良い子二人にキーホルダーを、そして、クラスのみんなに一つずつ分けられるお菓子を買いたいとのことでした。でも、私としては、子ども同士の物のやり取りはあまりさせたくないと思います。それに、クラスのみんなにお菓子を買っていくというのもどうなんでしょう? 娘に聞くと、「みんなもおみやげ持ってくるよ。私ももらったから」と言いました。親としてはどう判断すべきでしょう?(親パンダ さん)


『友達やクラスのみんなにおみやげを買いたい』と言うが……?【前編】[教えて!親野先生]

 

【親野先生のアドバイス】

親パンダさん、拝読いたしました。
これは、けっこう悩ましい問題ですね。

もちろん、原則から言えば、子ども同士の物のやり取りはやめさせたほうがいいでしょう。 たとえ、おみやげとは言っても、です。
そもそも、子ども自身は働いていないわけですから、すべてのお金や物は親の労働のたまものです。ですから、子どもには、それを友達にあげる権利そのものが本来ないのです。

それに、子ども同士の物のやり取りは、いろいろな問題につながることが多いという事実もあります(お金については、さらにそうです)。

おみやげでよくあるのが、「○○さんはもらったのに、私はもらえなかった」ということで気分を害することです。これによって、人間関係がおかしくなるというのは本当によくあることです。
また、おみやげ以外でも、片方はもらったつもりでも、もう一方は「あげてはいない。取られたんだ」ということでもめることもよくあります。これは、子ども同士の間に力の差がある時よく起こります。
また、友達の気を引くために、やたらと友達に物をあげる子もいます。それで、物をあげたのに冷たくされて、「やっぱり返して」とか「あげてなかった。貸しただけ」などと言い出してもめることもあります。
また、物をもらった子がくれた子に対して心理的な従属感を持つこともあります。すると、「○○さんと遊ばないようにしよう」と言われても断りにくいという状態になります。
また、物のやり取りが多くなると、だんだん自分の物とひとの物の区別がつかなくなってルーズになってくるということも起きます。たとえば、ひとの消しゴムでも平気で使うというようなことです。
子どもの場合、これもよくあることです。

それに、物のやり取りは、だんだんエスカレートする可能性を常に秘めています。これは、大人の間でも起こることですが、子どもの間でも同じです。

このように、おみやげも含めて、子ども同士の物のやり取りはいろいろな問題につながることが多いのです(これがお金になると、さらに心配な状態になります)。

それが多い場合、子どもたちの人間関係に何らかのゆがみがある可能性も高いわけです。


というわけで、原則から言えば、おみやげもやめさせたほうがいいのです。ただ、なんでもそうですが、物事は原則だけをとおしていればよいというわけでもありません。
というのも、個々のケースごとの事情というものがあるからです。その事情を無視して原則だけをとおしても、うまくいかないことも多いのです。

考えに入れるべき事情としては、一つにはその子の属する集団の事情、つまりその集団における行動の相場です。
もう一つは、子ども自身の事情、つまり、その子の性格やそれ以前の経過です。
つまり、集団の事情と子ども自身の事情です。

わかりやすいように、ご相談の問題を仲の良い子へのおみやげとクラスのみんなへのおみやげに分けて考えてみましょう。
まず、前者についてです。

もしかしたら、お子さんの周りでは、つまりその属する集団では、おみやげを買うのが当たり前というようになっているのかもしれません。
また、もしかしたら、お子さんは、仲の良い二人の友達に以前おみやげをもらっているということもあるかもしれません。
また、お子さんは、周りと違うことをするのを苦痛に感じるタイプかもしれません。
このような事情を、仮にA型とします。

このような場合、自分だけその相場からはみ出すとか、自分だけお返ししないなどの行いは、かなりたいへんなことと考えられます。もしそうなら、親としては、「子ども同士での物のやりとりはしない」という原則を諭しながらも、少し妥協する必要があるかもしれません。
もちろん、その場合も、必要最低限ということでいいと思います。自らその相場を上げていくようなことは望ましくないと思います。

もしかしたら、事情がA型ほどではないかもしれません。
たとえば、次のようにいろいろなケースが考えられます。

B型
・おみやげを買うのが当たり前になっている
・でも、子どもは少しくらい周りと違うことをしても平気
この場合は、A型の場合より原則に近い行動が取れそうです。

C型
・おみやげを買うことはかなり普通に行われているが、当たり前というほどではない
・子どもは、周りと違うことをするのを苦痛に感じる
この場合も、A型の場合より原則に近い行動が取れそうです。

D型
・おみやげを買うことはかなり普通に行われているが、当たり前というほどではない
・子どもは、少しくらい周りと違うことをしても平気
この場合は、かなり原則に近い行動が取れそうです。

E型
・おみやげを買うことはあまり行われていない
・でも、子どもは買っていきたがっている
この場合は、なぜ子どもがおみやげを買いたいと言うのかを、もう少し知りたいところです。
ただ単純に友達にあげたいと思ってのことか、友達の気を引きたいという気持ちが強いのか、友達関係でなんらかの問題があるのか、などです。

いずれにしても、集団の事情と子ども自身の事情をつかむことが必要になります。そして、本来の原則とそれら二つの事情を照らし合わせて、ちょうどいいところを見つけるということになります。極端に走らないで、原則と事情のバランスが大事です。

これらのことは、二つ目の問題、つまりクラスのみんなへのおみやげについても当てはまります。ですから、これについても、集団の事情、つまりお子さんのクラスの相場をつかむ必要があります。それとお子さん自身の事情を照らし合わせて判断するわけです。

では、どうしたら、クラスの相場をつかむことができるのでしょうか?


……この続きは次回で紹介します。



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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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