3人きょうだいの真ん中 甘えん坊の娘［教えて！親野先生］
「妹が1歳になったら自分で食べて、兄と二段ベッドで寝ると約束していましたが、できません」とのことですが、私はこういう「約束」はしないほうがいいと思います。
「妹が1歳になったら」という基準はどこから出てきたのでしょうか？
それは、親が任意に決めたことで、根拠も必然性もないものです。
本当の基準はその子どもの内側にあるのです。
たっぷり満たされて、もうそれが本当に必要でなくなったとき、それは自然に終わりになるのです。
それは、「何歳になったら」と決めることのできないものです。
子どもの内側の必要性が満たされて、それが終わりになるのがいつかなど、誰にもわからないことです。
それは極めて個人的なことですから、「○歳で○○」というマニュアル的な話に従う必要もありません。
そして、個人的であると同時に予測不可能なことなので、親子でその時期を「約束」することもできないのです。
それに、「約束」するとどうしてもせかすことになりますので、結果的に長引くのです。
「1年生になり環境が変わったので夏休みまで様子を見ていいですか」とのことですが、今書いたように、夏休みと決める必要はないと思います。
それは、子どもが満たされて不安を感じなくなるまでです。
何も急ぐことなどありません。
何年でもいいのです。
そもそも、なぜそんなに急ぐ必要があるのでしょうか？
急ぐ必要など何一つないのです。
私は、「自立させたい。お姉ちゃんらしくさせたい」という発想自体を捨てることをおすすめします。
それに代わって「子どもをたっぷり満たしてやろう」という発想で考えるといいと思います。
「自立、自立」と言ってせかすと、真の自立は遅れます。
一見自立したように見えることがあっても、くすぶったものを残しての自立なので、どこかに何かの形で出てくるのです。
特に、「夜、親と一緒に寝たい」という気持ちは無視しないでやってください。
夜は、子どもにとって本当に怖いものです。
親が一緒に寝てやって、心から安心して眠れるようにしてやってください。
「眠ってしまえば同じじゃないか」というのは、間違いです。
不安を感じながら眠ると、心に深刻な影響を及ぼします。
それは、自分を取り巻く世界全体への漠然とした不安に結びつきます。
心の無意識の部分にそのような不安が植え付けられると、それは一生ついて回ります。
子どもが甘えるのは、それが必要だからです。
たっぷりそれを満たしてやってください。
「自立」とか「○歳だから」という外側のものは捨てて、その子の内面を基準にしてください。
親にはその勇気が必要です。
勇気をもって、決意してください。
ひとたびその決意ができれば、子どものありのままを受け入れることができるようになります。
すると、親子共々楽になって、安らかな気持ちで毎日を送ることができるようになります。
そうしているうちに、熟した柿は自然に落ちます。
何年も何年も成長が見られなくて、「親野智可等さんはそう言ったけど本当に大丈夫かな？」と思うこともあるでしょう。
でも、変化が目に見えないときも内側で成長しているのです。
そして、その日は必ずやってきます。
ある日、突然、「今日から一人で寝る」と自分から言い出します。
その日は必ずやってきます。
その日は、本当の自立の日です。
私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
ながちゃんさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。
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