コロナ禍で中止・縮小になる運動会などの学校行事、子どもへの声かけは?

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コロナ禍の中、学校行事の中止・縮小が余儀なくされていることは、子供達に大きな影響を及ぼしていると思います。楽しみにしていた学校行事が中止になってしまって、落ち込んでいる子供にどのような声かけをすればよいのでしょうか。

(赤ペン先生 吉田)

この記事のポイント

「大きなイベントは開催されるのに、なぜ運動会は中止になるの?」と聞かれたら

以前、テレビのインタビューで、「ずっとオンライン授業で、学校にさえ行けていないのに、なぜ大規模イベントは開催されるのかなと思う。」と大学生が言っていました。
この大学生に限らず、小学生の子供達も、同じような気持ちになり、矛盾を感じてしまうのも仕方ないことだと思います。

さまざまな考え方があり、何と答えるのが正解なのかは、正直なところ私にもわかりません。ただ、一つ言えることは、「自分中心の考え方はしない」ということです。

「あれが許されるなら、これも許されてよいのではないか」という理屈はありがちですが、そこの議論をしても何の解決にもなりません。「中止にする学校が悪い、政治が悪い」などと、批判ばかりしても、生産性はありません。これを機会に、お子さまとこの問題について一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

「イベントを開催するために、どんな人がどんなことをしたのかな。」「学校は、なぜ運動会を中止にしたと思う?」「もし、運動会ができるとしたら、どんな方法があると思う?」「医療従事者のかたは、どんな苦労をされているのかな。」等々、疑問に思うことや考えるべきことなどを洗い出して一緒に調べてみたり、親子で忌憚のない意見を交わしたりするのもよいと思います。

ここで、いちばん重きを置きたいのは、批判的・攻撃的な考え方だけをするのではなく、「いろいろな角度から物事を考えること」「さまざまな人の立場に立って物事を考えること」です。
そのうえで、「自分が今できることは何か」「どんな世の中になればよいのか」などにも考えを繰り広げてみてはいかがでしょう。結論は出なくても、これをきっかけに、社会情勢にも関心をもち、興味の幅を広げていくことにつながるかもしれません。

「マイナス」を受け入れて「プラス」に変えよう!

運動会シーズンの今、特に、小学校生活が最後の年になる6年生にとっては、運動会が中止になることは、とても辛いことです。子供達だけではなく、わが子の成長を見るのを楽しみにしていたおうちのかたにとっても、非常に残念なことですよね。

まずは、この事実を受け入れて、「本当に残念だね。」などと辛い気持ちを親子で共有するとよいと思います。

悲しんだ後は、マイナス面ではなく、プラス面に目を向けていきましょう。
できないことがあるからこそ、今までは考えてもみなかったアイデアや知恵が生まれたりするものです。また、制限があるからこそ、気づくこともあります。

運動会は中止になったけれど、「クラスでこんな工夫ができた」「楽しめる新しい方法を発見できた」「家族で過ごす時間が増えた」「今まで当たり前にできていたことへの感謝の気持ちが芽生えた」など、良かったと思えることもきっとあるはずです。

何年か経って振り返ったとき、「あのときは辛かったけれど、みんなで乗り越えた」などと、いちばん心に残る1年になるかもしれません。

思考の転換をして楽しもう!

運動会に限らず、楽しみにしていた行事が次々と中止になり、がんばった成果をおうちのかたに見てもらえなくてがっかりしていたり、学校がつまらないと感じたりしているお子さまも少なくないと思います。

お子さまがしょんぼりしていたり、何か不満を抱えている様子のときは、ゆっくり話を聞いてあげるのがいちばんです。心の内を吐露できるだけでも、お子さまの気持ちはすっきりし、回復します。

また、「あなたが、がんばっていることは、ちゃんとわかっているよ。こんなことやあんなこともできるようになったね!」などと日々の生活の中のどんな些細なことでもよいので、お子さまが自分の成長を実感できるようなことを伝えて、「大丈夫!」と太鼓判を押してあげると、お子さまは安心でき、前を向くことができます。

よく耳にする話ですが、水が半分入ったコップがあるとき、「半分しかない」と捉えるか「半分もある」と捉えるか、同じ事象でも、捉え方によって気持ちが180度違います。
誰しも、渦中にいるときは、前向きな捉え方をするのはなかなか難しいですが、見方を変えることで、楽しくなったり、心が軽くなったりするほうが幸せな気持ちでいられます。

「つまらない」を「今だからこそできる楽しいこと」に変換していきたいですね。

まとめ & 実践 TIPS

今は、子供だけではなく、大人にとっても、経験したことがないような“時”が続いています。苦しくて、何でこんな目に合わなければならないのだろうと思うこともあるかもしれませんが、きっと、この経験が役に立つ“時”が来るはずです。

行動は制限されても「心」は自由です。「ピンチはチャンス」です。まさに今は、心が成長できるチャンスの“時”です。この“時”の中から、心を豊かにする贈り物をみつけていきましょう。

吉田かさね

赤ペン先生 吉田かさね

赤ペン先生歴26年。3年生担当
高校生のとき、進研ゼミを受講していて、赤ペン先生の文字の美しさ、丁寧さ、優しさにふれ、自分もこんなふうにできたらいいなと思い、赤ペンの道へ。日々「『赤ペン』って楽しい!」「次もがんばろう!」と思えるような声かけ・指導を心がけている。
また、続けることで、力がついたと実感でき、自信をもってもらえることが一番の励み。
趣味:読書・舞台鑑賞
自己紹介:ケセラセラ(なるようになる!)
一男一女の母。

プロフィール



赤ペン先生は「進研ゼミ」の選考に合格し、ゼミ独自の研修・教育を通じて、教科の学習内容やお子さまの力を伸ばす指導法などを学んだ人です。 お子さま一人ひとりの解答状況や学習の到達度に合わせて、丁寧に添削・指導いたします。 ※「赤ペン先生」は(株)ベネッセコーポレーションの登録商標です。

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