小学生こそ「お金教育」を始めるタイミング。子どもをマネーリテラシーの高い大人にするために必要なこと【税理士・大河内薫さんのお金教育】

“お金のことはあまり話題にしない”のが日本文化…。でもこれからの時代を生き抜くために「マネーリテラシー」は必須とされます。そしてその知識を身につけるのは早ければ早いほど良い、そしてもっとお金の話をすべき!と言うのは税理士の大河内薫さん。小学生向けに出前授業を行い「お金教育の義務教育化」を訴える大河内さんに、「小学生へのお金教育」について、伺ってきました。

この記事のポイント

お金の教育を考えた時、小学生にまず伝えたいことは?

「お金大好き」と言っていい!
まずは大人が偏見を取り払って

小学校でお金の授業をすることがあるのですが、子どもたちはとても無邪気に「お金大好き!」と言います。でも、成長すると言えなくなっていきますよね(笑)。大人になっても「大好き!」と言える社会になればいいと僕は思っているんです。
大人はどうしてかお金の話をすることはいやしいことだと思い込んでいて、実際にお金について学んだり話したりする機会は今も昔もほぼありません。

僕自身、学費の高い大学へ進学するため、1年分を自分で捻出して痛感しましたが、たとえどんな尊い夢だとしても叶えるためには「お金」が必要です。ご飯を食べるのも洋服を着るのも、生活していくために必要なものを手に入れるときには、「お金」でしか解決できないですよね。「お金」は「目的」ではなくて「手段」です。

将来、「お金」にふりまわされない人生をおくるために、まずは、お金は大切なものであること、外で話してはいけないいやしいものではないことをしっかり意識して、親子で向き合うことが大事だと思っています。

小学生のお年玉を、何も言わずに取り上げてはいけない

子どもの「お年玉」、どうしていますか? 預かっておくね、と言って取り上げたままになっていないでしょうか?お年玉をもらった時はお金の話をするチャンスです。どう使おうか話し合ったり、結果取り上げるのであれば「教育資金にするね」とちゃんと伝えるべきだと思います。

そしてそれをフックに日常の「お金」について一緒に話してみてください。家族の資産、親の年収も聞かれたら答えていい。もちろん友達にしゃべってしまう可能性はあるわけですが、それよりも「そんなこと聞いてはいけません」という返しになる方が僕はマズいと思います。お金については聞いてはいけないこと、しゃべってはいけないことだと刷り込まれてしまいます。

サラリーマンの生涯年収は2,3億程度ですが、子どもも一緒になってその2,3億というお金の使い道を考えていくのはお金教育的にも実はありですし、小学生からでも段階的にできることだと思います。
それまで何もお金の話をしないで、高3になってから急に「うちはお金がないから大学は無理だよ」「医療系はきつい」などと言うのは酷なことですから。もっと早くから言えば、子どもなりにお金について考えるものです。

お金の使い方について、どう教える?

消費、浪費、寄付、貯金、投資
どう使うかの練習を始める

お金を使うと一口に言っても、「消費、浪費、寄付、貯金、投資」という使い方があります。大切なのは、そのお金の使い方がどれに当たるのかわからせることです。

例えば駄菓子屋でおもちゃ付きのお菓子を買うとか、テレビゲームを買うことは、消費でも投資でもなく浪費に分けられますよね。つい子どもにだけ「無駄使いはだめ」と言ってしまいがちかもしれませんが、大人でも消費や投資以外のお金をたくさん使いますし、浪費がすべて無駄使いとは限りません。それは人生に適度に必要なものです。

だから、子どもにだけ「浪費」をダメだというのはよく考えたらおかしい。大事なのは、お金の使い方を意識させること、どう使うとどうなるかわからせることです。
お金は使わないとお金の使い方が上手くならないので、最初から細々と指示をしすぎず、使った後で使い方の反省会をすればいいと思います。

だからこそ、小1、2年くらいで初めてのおつかいデビューをしたら、自分で好きな買い物をする体験もありではないでしょうか。早いうちに自分でお金を実際に使ってみるというのは貴重な体験になると思います。

おこづかいは電子マネーでもOK。
とにかくお金を“身近”にして使いながら学ぶ

Suicaなど電子マネーでおこづかいを渡すこともあるようですが、それもナシではないと思います。でも、オートチャージにはしないこと。実際にお金をチャージしているところを見せることが大事。現金がいつかなくなるなら必要ありませんが、なくならないと思いますし、価値を実感するためにも大切ですね。

中高生になったらおこづかいもあげ方を工夫していきますが、小学生では一緒に使いながら、例えばものの値段について話してみてください。子どもは値段について考えるのが好きですから。
何かを欲しがった時、「これはどうして高いと思う?」と聞いて話を広げてみましょう。Nintendo Switchがなぜ高いのか。外出自粛でみんな家でゲームをしていて大人気だから、供給が間に合っていないんだ、など需要と供給の話もできますね。
例えばマクドナルドに行った時は、世界でビッグマックは値段がまちまちなことも興味を持って聞いてくれます。なんでも身近な商品の「値段」からお金の話をしてみるのはおすすめです。

また、一緒にメルカリをやって、いらなくなったおもちゃなどを売ってみるのも子どもには楽しいはず。値付けをしたり写真を撮ったり、売れなければ何がいけないんだろう?と考えたりといい勉強になりますし、親子のコミュニケーションにもなります。手に入ったお金は子どものお小遣いにするのもよし、お互いに合意を得た上で、子どもの売上からスマホを貸したり売る手助けをした手数料を親が取るのもありだと思います(笑)。

こんなふうにとにかく小学生では、まずお金を身近なものにして、怖がらず「使わせて学ぶ」。これが大事です。使わせてみてから、これは消費かな? 浪費かな?と一緒に考えたり、家族でお金の話をしてみてください。子どもも自然とお金の使い方を意識するようになります。そうすれば小学生へのお金の教育はひとまず成功ではないでしょうか。

マネーリテラシーの高い大人にするためには、家族でお金の話をしつづけること

「投資」の話は、ハサミの買い物から

そこからは一歩先のお話を。「消費」「浪費」「貯金」は分かったとして、「寄付」は学校で行っていたりするので理解しやすいかもしれませんが、「投資」は、例えば株式投資の話になるとちょっとまだ小学生だと難しいです。
でも、例えば「ハサミを買う」ことも投資といえます。紙を切る時に手では不便ですが、ハサミがあれば便利で、時間の節約になります。

このように、お金を払って「将来に利益をもたらすもの、お金を使っていいことがある」のが投資です。
それはお金でも時間でもいいわけで、ハサミという便利な道具で時間を生み出すのも、学校で勉強するために文房具を買うのも投資だよ、と教えてあげましょう。
中高生になったら株式投資の話が理解できるようになります。「お金」に強い子にするためには、「お金」の話を大人になるまで家族でずっとし続けて当たり前にしていくことが大切です。

取材・文/有馬美穂

第二回 子どもをマネーリテラシーの高いお金に強い大人にするために。中高生はお金を使い、増やす練習をはじめさせる時期【税理士・大河内薫さんのお金教育】

第三回 マネーリテラシーは大丈夫?お金に漠然と不安な大人が、知っておくべきこととやるべきことを聞いてみた【税理士・大河内薫さんのお金教育】

プロフィール

大河内薫

税理士、㈱ArtBiz代表取締役。日本大学芸術学部卒。芸術分野に明るい税理士としてクリエイターや芸能・芸術系の顧客に特化した税理士事務所を経営。また、登録28万人超のYouTube『税金チャンネル』や、著書『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください』(¥1,320/サンクチュアリ出版/発行部数15万部超)など、お金や税金の知識をカジュアルに発信している。お金の教育を義務教育に導入することを目標に掲げて、小・中・高校などでも出前授業を展開。

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