好き嫌いを少しでもなくす方法は?[スーパー保育士のお悩み解決]

「子どもには好き嫌いなくなんでも食べてほしい」。そう願う保護者のかたは多いものです。でも実際は、わが子の好き嫌いに悩んでいるご家庭が多いのではないでしょうか?今回は子どもの好き嫌いについてお話ししたいと思います。

好き嫌いが多いと、子どもでも大人でもよく「わがまま」と言われたりします。でも、決してそうではないことを、子どもの名誉のためにも言っておきたいと思います。私の保育士時代のことですが、食べ物の好き嫌いはとても多いけれど、普段わがままなどは一切言わず、友達にも優しく、なんの問題もない女の子がいました。一方、好き嫌いなくなんでもよく食べるけれども、ケンカっ早く、すぐに友達とトラブルを起こす、手のかかる男の子がいました。それを見て私は、子どもの好き嫌いは、決して性格がわがままだからではない、と思うようになりました。

私は、好き嫌いのある人は、子どもにしろ、大人にしろ、それを食べて「おいしい」とは感じない、残念な舌を持っているだけのように思うのです。逆に、何でも食べる人は、本当は嫌いだけれどわがままを言わずに食べている、というわけではなく、何を食べてもおいしく感じる、すばらしい性能の舌をもっているのだと思うのです。

実は私は、ピーマンが大の苦手なのですが、それは私の舌がピーマンを食べてもおいしく感じない舌だったから。逆に私の大好きなメロンが食べられないという人もいますが、それもメロンを食べても「おいしい」とは思えない舌を持っていたからだと思うのです。私から見ると、あんなにおいしいのに……と思いますが、おいしく感じないのだから仕方がありません。

でも、好き嫌いはないに越したことはありません。ではここで、お子さんの好き嫌いを今からでも少しでもなくしていく方法を考えていきたいと思います。

保護者のかたは、なんだかんだ言いながらも優しいので、わが子の好き嫌いが困るといいながら、毎日の食卓には、子どもの嫌いなものは最初から並ばず、子どもが好きなものばかりが並ぶ傾向があります。でも、舌の感覚というのは年月とともに変わり、「それをおいしいとは感じない舌」が、いつのまにか「おいしく感じる舌」に変化していくことが多くあります。私自身、子ども時代は苦手だったニンジンが、今では大好きな野菜になっています。仮にお子さんが苦手であっても、最低月に一度はそれを食卓に並べてほしいと思います。お子さんの舌が、いつのまにか、それをおいしいと感じるものに変化しているかもしれませんよ。

次に、嫌いなものでも、少しは食べられるようになるよい方法をお伝えしましょう。 食卓に並べた後、目の前で、その9割を取り除き、「これだけは食べようね」と言って見せるのです。子どもは、出されたものはまずは見た目に驚き、嫌いなものは最初から食べようとしないことが多いもの。でも、それが目の前で10分の1に減ると、「あ、これなら食べられそう」となり、残すどころかそれを真っ先に食べることもあります。台所で減らすと、最初からその量だと思い、有難みが薄れるので、子どもの目の前で減らすのがポイントです。

もしも食べたなら、減らす量は次は5分の1、という風に少しずつ調整します。最初はトウモロコシをまったく食べようとしなかった子どもが、その作戦で最初は1粒、次に3粒と増え、数か月で、全量を食べるようになったこともあります。食べず嫌いでまったく手を付けようとしなかった子どもは、「10分の1」になったそれを食べてみると予想外に美味しかったのか、「さっき減らしたの、返して」と言ってきたこともありました。

子どもの嫌いなものは、調理でひと手間加えることも大切です。小さく刻んだり、柔らかく煮込んだりして見た目に変化を加え、好きなものと一緒に口に入るようにするなど、与え方を工夫をし、それによって少しでも食べたなら、次からもそうしていく、というような地道な努力が必要です。

さて、子どもがもっとも苦手にしやすいのが野菜ですよね。

野菜の1日の望ましい摂取量は大人で350g、子どもでも200g以上と言われています。葉っぱ類の野菜はたくさん食べたと思っても、グラム数としては少ないので、芋、大根、かぼちゃなど、固形の野菜を多く摂るようにすると見た目が少量でも、グラム数は多く摂取したことになります。親は、いろんな野菜をまんべんなく食べてほしいと思うものですが、種類にこだわらず、とにかく野菜ならOKと考え、しばらくは好きな野菜を中心に与えてもいいでしょう。

野菜ジュースを飲むと、その半分の重さの野菜を摂ったことになるそうです。たとえば200cc飲むと、野菜を100cc摂ったことになるのです。腸への吸収もいいので、子どもの野菜不足に悩む保護者のかたは、お子さんが野菜ジュースを飲めるようにしておくといいですよ。最近の野菜ジュースはとても飲みやすくなっています。野菜スナックなど、お菓子類で野菜を摂ろうとするのはおすすめできません。

お子さんの好き嫌いは工夫次第で必ず改まっていきます。ポイントは、その他の生活習慣の形成と同じく、「焦らず、楽しく、少しずつ」です。

プロフィール


原坂 一郎

KANSAI こども研究所所長。23年間の保育所勤務時代には、どんな子どもも笑顔になるユニークな保育が注目され「スーパー保育士」と呼ばれた。現在は「こどもコンサルタント」として、子どもおよび子育てに関する研究・執筆・講演活動を全国で展開している。

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