「未来質問」で子どもとの対話が増える![やる気を引き出すコーチング]

「まさか、うちの子があんなに話してくれるようになるとは思いませんでした。質問の仕方って大事ですね。私がこれまで子どもにしていた質問とコーチングの質問は、まったく違う種類のものだったということがよくわかりました!」としみじみおっしゃるのは、中学2年生の息子さんを持つAさん。
非常に興味深いお話なので、じっくりお聴きしてみることにしました。

■子どもが話したいことを聴く

「私が子どもにしていた質問は『宿題やった?』『テストできた?』『学校どうだった?』など、基本的にこちらが知りたいことだったんです。私の都合や心配が先に立って聴いているので、子どもは話したくなかったんだと思います。
でも、コーチングの質問は、こちらが知りたいことではなくて、相手の考えを聴くんですよね。相手に自分で考えてもらうための質問を意識して、相手が話したいことを聴いていくと、やっぱり話すんですよね。

例えば、うちの子、部活でバスケットボールをやっていて、すごいバスケ好きなんですけど、『この選手ってどういうところがすごいの?』なんていう話をテレビを見ながらすると、案外話すんです。
その話題に合わせて、『へえ!そうなんだ!あなたはいつもどうしてるの?』と聴くと、『どうかな?あんまり考えてなかったけど、次の練習でちょっと試してみようかな』とか言い出すんです。
以前は、『最近、部活どう?』って聴いても、『別に』しか言わなかったんですけどね。本人が話したいことを聴けていなかったんだなと思いました」

■未来質問をする

「それから、もう一つ、意識的に質問の仕方を変えてみたことがあるんです。以前は、終わったことしか質問していなかった気がするんです。
例えば、『テストどうだった?』とか、『なぜもっと勉強しておかなかったの?』『1年生の時もそうだったよね?』とか、過去のことに対して問いかけることが多かったなって思ったんです。

それで、もう終わったことはどうしようもないので、未来形の質問を意識してするようにしました。
『今週はどんなことしたい?』『どんな夏休みにしたい?』とか、もう少し先のことも聴いてみます。『あなたが20歳になる頃には、スマホってどうなっていると思う?』なんていう話から『その時、どんな大人になっていたい?』とか『何をしていたい?』などの話をするようになりました。
もちろん、『まだわからない』と答えることもありますけど、過去質問をやめたら以前よりもたくさん話してくれるようになりました」

すばらしい実践事例のお話でした。子どものタイプにもよるとは思いますが、こちらが知りたいことや終わったことばかり聴かれると、なんだか責められていると感じる子どももいるようです。
一方的に「どうだった?」「なぜ?」などと言われると、芳しくない結果は特に話しにくいでしょう。こちらが過去の出来事には評価を加えず、未来に向かう質問をしていると、本人が自然と過去を振り返るようにもなるものです。「あの時はこうだったからうまくいかなかった。次はもっとこうしたほうがいいな」と自分で考えられるようになっていきます。

未来質問の例をいくつか挙げておきますので、ご参照ください。すぐには答えられなくても、子どもの意識が一瞬でもそこに向かうことには大きな意義があります。

「これが終わったら、この後、何をしたい?」
「ここから先はどうすればいいと思う?」
「次はどんな計画?」
「次、もっとうまくやるためにはどうする?」
「どんな状態になったら理想的かな?」
「1年後にはどうなっていたい?」
「どうしたら、もっと強くなれると思う?」
「楽しくやるためには何が必要?」
「これができたら、どんなことが起きると思う?」
「いつから始める?」

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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