なぜ、男の子は乗り物、女の子はぬいぐるみを好むの? 遊びに関するQ&A【後編】

息子が男の子らしい遊びをしない、特定の分野にしか興味をもたない…子どもの遊びに関するお悩みに、聖徳大学教授の相良順子先生がお答えします。

男の子らしい遊びをあまりしない…

【Q】
3歳の息子がおままごとなどを好み、男の子らしい遊びをあまりしません。

【A】
性ホルモン異常などの医療の対象となるケースはまた別の話となりますが、それ以外では異性が好む遊びに夢中になるのは個性の範囲であり全く問題ないと思います。それに子どもが好まないおもちゃを与えても、興味をもってくれるケースはまれですからあまり意味はありません。

ひと昔前は、男らしさ、女らしさを重視し、ご質問のようなケースでは、「もっと男の子らしい遊びをしなさい!」などと叱る保護者が珍しくありませんでした。しかし、好みを叱ったり、否定したりすると、子どもは保護者の前で自分の気持ちを隠すようになるためよい方法とは言えません。最近はジェンダー(社会が定義する男らしさ女らしさ)にとらわれずに子どもを育てようとする保護者が増えていますが、それは子どもの個性を伸ばすという点ではよいことと言えるでしょう。

他のことにも興味をもってほしい…

【Q】
うちの息子は電車にしか興味がありません。他のことにも興味をもってほしいのですが…。

【A】
特定の分野が好きでたまらず、大人がびっくりするほど詳しくなるケースはよく見られます。保護者からすると、「もっと他のことに興味をもってもらいたいな」と思うかもしれませんが、ひとつのことに集中するのは悪いことではありません。

どんどん知識が増え、友だちから「すごい!」と認められることは自信につながります。さらに、乗り物でも、アニメのキャラクターでも、昆虫でも、子どもは好きなことを自分で調べたり、関連するものを集めたりしようとします。保護者から与えられるのではなく、自分で考えたり行動したりして何かを達成したという経験は、小学校以降の学びにおいても大きなプラスになるに違いありません。

全く別の分野に興味をもたせようとするのは無理がありますが、関連分野で興味が広がるように促すのはよいかもしれません。例えば、新幹線に夢中の子どもに、在来線や自動車、飛行機などの図鑑を見せてあげると徐々に興味の範囲は広がっていくでしょう。

同じようなおもちゃばかりをほしがる

【Q】
子どもが既に持っているおもちゃと同じようなものばかりをほしがります。無駄に思えるのですが、駄々をこねられて困っています。

【A】
おもちゃ屋さんで保護者が「同じようなものを持っているよね」と、子どもに言い聞かせているのはよく見られる光景です。大人から見ると変わらないものに思えても、子どもから見ると細かい違いがあるのでしょう。ですから、子どもにとっては無駄ということにはならないと思います。

とはいえ、買い過ぎると置き場所に困りますし、出費も馬鹿になりません。「これ以上買うと片付ける場所がないよ」「こないだ買ったばかりだから次ね」などと、限度を教えることは大切です。

プロフィール



お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了。博士(人文科学)。専門は発達心理学。主な著書に『子どもの性役割態度の形成と発達』(風間書房)など。

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