子どもの「なぜ、勉強するの?」にどう答える?
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「なぜ勉強をするの?」子どもからのこの問いに、保護者はどう答えればよいのだろう? 適切に答えるのが難しいこの質問に、学校ではどのように答えているのだろうか? ベネッセ教育総合研究所・情報編集室長の小泉和義氏が、その答えを探る。
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世の中にあるものすべてが新しい出会いである赤ちゃんは、「もっと知りたい」という意欲で満ちあふれ、新しい情報を常に追い求めます。しかし、小、中学生になるにつれて、その意欲は変化します。ある調査によれば、学校の勉強に対して3割の小学生、5割の中学生が、「どうしてこんなことを勉強しなければならないのだろう」と感じているようです。
勉強への意欲が変わってしまう理由は、仕方なくやる勉強が増えていくからでしょう。勉強するうちに面白くなればよいのですが、学校の授業のすべてがそうとはいきません。また、子ども自身が「知りたい」と思ったことを追究する環境と時間が、十分に確保されていないかもしれません。教科の勉強だけではなく、「なぜだろう、不思議だな」と感じ、その疑問を追究していく中で新しい発見をすること自体が「学び」に変わるのですが、その余裕がないのです。
勉強に疑問を持っている子どもに対して、学校の先生はこんな観点から理由を答えます。
(1)「日常生活に役立つから」
(2)「将来役に立つから」
(3)「面白いから」
私は、この問いが子どもから出た時こそ、学校まかせにせず、家庭でも一緒に考えてほしい、子どもと向き合ってたっぷり時間をかけて対話をしてほしい、と思います。子ども自らが主体的に発した「問い」を一緒に考え、答えを見つけていく過程こそ「学び」の本質なのです。考えることが面白くなって、子どもが自らどんどん新しい問いを発するようになってくれれば、しめたものです。
「なぜ、勉強するの?」あなたはどう考えますか?
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