ネットいじめにあってしまったら 対処法を専門家に聞く
深刻度を増すネットいじめ。その被害を拡大させないために、保護者には何ができるのだろうか? この問題に取り組む山形大学准教授の加納寛子氏に、子どもが被害にあった、あるいは加害者になったときの対処法について話を伺った。
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ネットに誹謗(ひぼう)中傷を書かれたり、嫌がらせのメールが届いたりしたら、すぐにその画面を保存しておくことをおすすめします。画面をカメラで撮ってもOKです。具体的な証拠を残しておいたほうが、保護者や先生に相談しやすくなり、いじめの経緯を客観的に人に伝えることができます。子どもは、嫌なデータはその場で消してしまいがちですが、身を守るためには保存の習慣づけも必要です。
嫌なものを繰り返し目にしていると、それだけで心身に大きなダメージを受けます。冷静に、すばやく対処することが何より大切です。嫌がらせのメール等が延々と届くようなら、すぐにアドレスを変え、嫌な画像や発言がアップされたサイトはすぐにその情報を削除するよう、サイトの管理人、運営会社またはプロバイダ会社に連絡しましょう。公的な窓口に相談されてもよいと思います。
子どもがネットいじめをしたことがわかったら、まずは機械的な対処として、携帯を取り上げるか、ネットを使えない契約にします。人を傷つけないという最も大事なルールに違反したのですから、当然のこと。被害者にどんなダメージを与えるか、本人に自覚させることが大事です。
そのうえで、子どもの話をよく聞いてあげましょう。本人も自覚していないかもしれませんが、いじめをする背景には、満たされない思いや悩みがある場合がほとんどです。毎日が楽しく充実していれば、人に嫌がらせをしようなどとは思わないはずです。時間をかけて話を聞いたうえで、今後どうすればよいのか、本人と一緒に考えてあげてください。そして、被害者にきちんと謝罪し、もう二度としないと本人に宣言させましょう。