保護者も知っておきたい! 4人に1人が利用するイマドキの推薦・AO入試事情
大学入試には主に、「一般入試」「推薦入試」「AO入試」の3種類があります。
かつては、「大学入試=一般入試」というイメージでしたが、近年は約4人に1人が推薦入試・AO入試を使って大学に入学しています。特に私立大の入学者の場合、その割合が半数以上(50.6%)にのぼります(※2015年度入試。文部科学省資料より)。
この記事では、保護者の学生時代と比べて、非常にメジャーになった推薦・AO入試について紹介します。
高校3年間の努力の積み重ねが評価される推薦入試
推薦入試は、原則11月1日から出願を受け付けます。評価基準は普段の学業成績や部活動の成績、課外活動への取り組みなど。一発勝負の学力テストではなく、3年間コツコツと頑張ったプロセスを評価される入試といえます。
推薦入試は、「公募制」と「指定校制」に大きく分けられます。「公募制」は、高校の成績(評定平均値)が出願条件になるケースが多い「一般推薦」と、スポーツや文化活動など学業以外の活動を評価する「特別推薦」に分かれます。「指定校制」は大学が高校に推薦枠を与えて実施する方式です。そのため、推薦枠がない大学には出願できません。
高校生側から見た推薦入試のメリットは、「学科試験が免除もしくは科目数が軽減される」「一般入試よりも早い時期に合否が確定する」という点です。また、指定校推薦の場合、「校内選抜」を通過すれば、志望大にほぼ間違いなく合格できるという大きなメリットがあります。
AO入試では「学力以外の観点から大学にふさわしい人物」が選抜される
AO入試(アドミッションズ・オフィス入試)は、「学力以外の観点で、大学にふさわしい人物を募集する入試」です。大学が求めている学生像(アドミッション・ポリシー)に基づき、受験生の意欲や適性、能力が評価されます。
試験内容は大学によって様々ですが、書類審査や面接、プレゼンテーションなどによって選抜されることが多いようです。出願受付は8月1日以降と定められています。推薦入試と違って、学校長の推薦は必要ありません。
AO入試も推薦入試と同様、「学科試験の免除、もしくは科目数の軽減」「早期の合否確定」がメリットといえるでしょう。ただし、近年では文部科学省の方針を受け、学力の基準を新たに設ける大学も増えています。
早期合格が確約される推薦・AO入試は、注意すべき点もある
このようにメリットが大きいように見える推薦入試・AO入試ですが、注意すべき点もあります。
早期に合格が決まってしまうため、最後まで必死に勉強した一般入試の合格者と、大学入学時の学力に差が出てしまうことも考えられます。また、特に指定校推薦の場合、合格したら必ず入学しなくてはなりません。「その大学で自分の学びたい学問を本当に学べるのか」「その大学に進むことが、将来の道につながってくるのか」をよく考えたうえでの第1志望大でなければ、早期合格と引き換えに不本意な大学生活を送る可能性もゼロではありません。
推薦入試・AO入試は「早期に(あるいは学科試験から目を背けて)進学先を決める手段」ではなく、あくまで「第1志望の合格可能性を広げる手段のひとつ」だということを、お子さまにしっかり伝えることが大切だといえるでしょう。