専門家が教える、中学受験に向かう保護者の3つの役割
中学受験を考える保護者にとって、子どもが思うように勉強をしないのは、とても悩ましいことだろう。森上教育研究所の森上展安氏に、中学受験を目指した有効な勉強の進め方と保護者のあるべき姿について、話を伺った。
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4年生の春から、塾に行き始めるなど、「受験勉強」を始める子どもが多いと思います。ここで保護者のかたにぜひ意識していただきたいのは、受験問題は受験生を振り落とすためのもので、基本的に「誤答誘導」の問題だということ。子どもがまちがえるのは当然で、わざわざ道に迷わせておいて「まちがえてだめだね」などと言ったら、子どもは勉強嫌いになってしまいます。
まちがえたらむしろ「いいまちがいをしたね」と言ってあげてください。なぜ解けないのかを自分で考え、発見していくのが勉強であり、「解けなくて悔しい」から「解けるようになりたい」と感じるのが人間の思考です。保護者は、子どもが「やろうとしているのにできない」ことをぜったい叱ってはいけません。
そして、保護者の役割は「タイムキーパー」と「インストラクター」、それに子どもが主体的に勉強に取り組めるような環境づくりの3つと考えてください。
勉強のスケジューリングと時間管理を保護者が手伝ってあげるのが「タイムキーパー」。受験勉強を始めたてのころは、ごく短時間、やさしい問題に取り組ませるのがよいでしょう。
「インストラクター」としては、子どもは「わからなくて当然」と心得、どう解説すればわかりやすいかを研究し、絵や図、さまざまなたとえを駆使して教えていきましょう。
また、辞書や事典、図鑑を手元に置いて、わからないことを自分で調べたり、観察したりするおもしろさを実感できる環境づくりをしてあげてください。子どもが五感で感じたことと知識を、自分で結び付けていく体験が大切です。自分が勉強の主人公であるという感覚を、この時期ぜひ持たせてあげたいですね。