中高一貫校 公立は「自主性重視」私立は「面倒見重視」の傾向
私立中高一貫校と公立中高一貫校の校風はどのように違うか? 森上教育研究所を主宰する森上展安氏が、独自の視点で分析する。対象となったのは、東京都内の公立中高一貫校と、公立一貫校と似た条件(共学で偏差値58前後)の私立中高一貫校10校だ。
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「面倒見重視または自主性重視か?」は、学校案内や学校のHPを読めばおおよそのことがわかる。主観的ではあるが<表>にまとめてみた。公立は、面倒見重視の学校は1校と少なく、自主性重視の学校が3校あった。最近は、入試難易度ランクが高いほど、面倒見重視と自主性重視を兼ね備えた中間の校風の学校が増えているが、公立校でも3校あった。また、面倒見重視と自主性重視のどちらも打ち出していないため不明とした学校が4校と多い。私立も同様に調査して、両者を比較すると、公立は自主性重視の学校が多く、私立は面倒見重視の学校が多いことが言える。
「伝統的または革新的な校風か?」を客観的なデータの「制服」と「学期制」で調べて<表>にまとめた。
制服は「学生服やセーラー服」を採用している学校を伝統的な学校とした。「ブレザー」を採用している学校を革新的としたが、男子は学生服で女子はブレザーという学校もあったので、男子と女子を合算して集計した。その結果を見ると「学生服やセーラー服」は公立・私立とも約3分の1の学校が採用しており、ほとんど差はなかった。また、公立・私立とも「ブレザー」を採用している学校が多く、もはや革新的とは言えない。
学期制については、明らかに2学期制は全体としても少なく、その中で、公立が2学期制を導入している学校が多いことがわかる。この公私対照的な違いは週5日制の学校が公立に多いこともあろう。公立中高一貫校になった都立高校は伝統校が多く、伝統を重視する学校が多いと思ったが、革新的な要素も積極的に導入しているようだ。むしろ私立は学期制においては伝統的な3学期制の学校がほとんどだ。このようにいろいろな角度で見ることにより、公立中高一貫校と私立中高一貫校の違いがわかる。