【回答:若泉 敏】受験対策<その2>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
志望校が決まっています。どのような対策が必要ですが?
国立中高一貫校に向けての勉強方法を教えてください
志望校が決まっています。どのような対策が必要ですが?
Q | 現在1年生です。希望の中学校は大阪教育大学附属天王寺中学校です。そのためには今からどういう勉強をしたらよいのでしょうか? 進研ゼミの「チャレンジ」とオプションでよいか、塾も行ったほうがよいか…。アドバイスをお願い致します。 |
A | 大阪教育大付属天王寺中学校の対策は、音楽・図工・体育・家庭科が大切。教科学習は学校の勉強を中心に基礎基本をしっかり身につけること 大阪教育大学附属天王寺中学校の入試問題は、音楽・図工・家庭・体育の出題に特徴があります。過去問を分析、検討してお子さんの家庭教育に役立てることが必要です。 音楽は作曲があります。ピアノなどを習い事の一つにしておくことは必須です。指導の先生に、大教大天王寺中学校を志望していることをはっきり伝えておきましょう。 図工も工作とデッサンを中心とした教室に通うことが有効です。創造力を高め、発想力豊かな子どもにしたいものです。 家庭科は、小学校では5年生から学習しますが、家庭では早いうちから親子が一緒になって、お買い物や料理作りに取り組むように心がけましょう。品質表示に着目したり、季節と農作物の関係を考えたり、産地調べや流通経路を調査してまとめることは、家庭科の学習に役立つだけでなく、4年生以降の社会科や理科の学習にもかかわってきます。 体育は、実技種目が明示されているので、できることから練習したらよいでしょう。 国語・算数・社会・理科は、同じ偏差値の私立中学入試問題ほど難解な問題は出題されませんが、正確な知識と問題文の読解力、粘り強く考え抜く力、論理的な考察力は高いレベルを要求しています。学校の勉強を中心に基礎基本をしっかり身につけることが大切です。 塾に通ったり、先取りの教科学習をすることだけが「勉強」ではないのです。学習習慣をつけていくという意味で、通信教材に継続して取り組んでいくとか、1年生の時に家庭でできる学習を、いろいろ工夫されたらいいと思います。例えば、教科書の音読を続けて、その日本語の文章構造を頭の中にたたき込む、ということは非常に有効な学習です。 算数は、学校の教科書レベルを超えて進むということは、一向にかまわないと思います。親が教えると学校と違う教え方をするのではないかと心配される方がいますが、素直なお子さんなら、もっとうまい解き方にふれたときに、砂に水がしみこんでいくように、どんどん吸収していくでしょう。要は興味関心、意欲という態度を豊かに育成しておくことが、3年生までの大事なところであるということです。ただ国立大学附属校は、入学試験問題において一般私立中学よりもかなり高いレベルの思考能力を問うてくる傾向にあります。 したがって、各教科の基本知識や技能は高いに越したことはないので、「チャレンジ」とオプションで十分かというと、必ずしもそうとはいえません。しかし、オプション教材の中には、かなりレベルの高い問題も出されていますから、十二分に有効活用することで役には立つでしょう。 |
国立中高一貫校に向けての勉強方法を教えてください
Q | 国立中高一貫校をめざしている小学6年生の娘です。国立は、私立と問題傾向が違いますが、今からどんな勉強方法が効果的なのでしょうか? また、漢検や英検などの資格をたくさんとったほうが、有利になるのかも教えてください。 |
A | 学校ごとに勉強法は変わる。私立型中学受験との併願が多い 国立中高一貫校といっても、どの附属校であるかによって、その勉強法、対処のしかたは変わってきます。その学校の問題を十分に精査して、その対策を立てなければいけません。 ただ一般的には、公立中高一貫校の適性検査とは違い、教科ごとの学力試験ですから、私立中学受験とかなり符合するところがあるということになります。また各教科の知識、技能も高いレベルが求められています。したがって、志望校の過去問をはじめとした一般私立型中学受験の学習を入念に行い、弱点を一つひとつ克服していく努力が求められます。 6年生のお子さんに、今からどのような勉強法が効果的なのかというと以下のとおりです。
ところで、漢検や英検などの資格については、ほとんど有利に働くことはありません。特に英検は全く必要がないといえます。 国立大学附属校の入試の問題では、素早い的確な判断力と、論理的で緻密な思考力を要求してくる傾向がありますから、普段から幅広い興味関心をもち、実験・観察・実践を行い、「なぜ、どうして」と理由を追究する姿勢をもてるようにしたいものです。 |