食べ物の好き嫌い・偏食をなくしたい[教えて!親野先生]

【質問】

 

子どもが好き嫌いが多くて心配です。料理の工夫も、できるだけのことはしていますが、毎回工夫を凝らすこともできません。先日も、「これ嫌い。食べたくない」と文句を言ったので、「それなら食べなくていい」と怒鳴ってしまいました。お互いかなりのストレスになっています。(フラッコリー さん:小学1年生女子)


食べ物の好き嫌い・偏食をなくしたい[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

フラッコリーさん、拝読しました。
子どもの好き嫌いを目の当たりにすると、保護者としては心配になりますね。

何でも文句を言わずにおいしそうに食べてくれる子なら、保護者としては助かりますし、安心もできます。でも、実際はほとんどの子に好き嫌いはあります。
では、どうしたらいいでしょうか?
まず、無理のない範囲で保護者としてできることをしてあげてください。

1つめは、もう既にやっていらっしゃるとおり、料理の工夫ですね。それによってだんだん食べられるようになることもあります。具体的な方法については多くの本も出ていますし、ネットで検索すれば山ほど出てきますのでそれらを参考にしてください。

2つめは、一緒に野菜を育てたり料理を作ったりすることです。これによって食べられるようになることもあります。
ニンジンを食べられなかった子が家庭菜園でニンジンを育て、それを使った料理を親子一緒に作り、それによって食べられるようになった例もあります。

3つめは啓発です。つまり、次のようなことを子どもに教えてあげるのです。

●その食べ物にどういう栄養があるか
●好き嫌いが多いと栄養が偏ってしまう可能性がある
●好き嫌いなく食べると健康によい

これらのことを子どもに話してあげてください。あるいは、絵本を読み聞かせたり映像を見せたりする方法もあります。
子どもが「なるほど、本当にそうだ」と納得して、食べる気になることもあります。

このように、無理のない範囲で保護者にできることをしてあげてください。
でも、それでも食べられないこともあります。本能的・生理的に受け付けないこともあります。もしかしたら、誰にもわからない何らかの理由があって食べられないのかもしれません。
ですから、「ただのわがまま」と決めつけないほうがいいでしょう。
無理のない範囲でできることをしてあげて、それでも食べられないなら諦めて目をつむってあげてください。

そして、この「無理のない範囲」とは、子どもにとってだけでなく、保護者にとっても無理のない範囲ということです。保護者だって忙しいですし、ほかにもやることは山ほどあります。
この一事で余分なストレスをためこむ必要などありません。そんなことになれば、ほかの所にまずい影響が出るだけです。
子育てでは、諦めて目をつむるということはとても大事なことです。いろいろな場面で、目をつむれる親になってください。
目をつむれない親は、結局やってはいけないことをやってしまうことになります。

この場合のやってはいけないこととは、叱りつける、無理に食べさせる、食べるまで遊ばせない、食べないと食事抜きだと脅す、などなどです。
こういうことをすると、必ず副作用が出ます。たとえば次のようなことです。

●無理矢理食べさせられた食べ物に対して嫌悪感を持ち、一生苦手になることもある
●無理に食べさせる親に対して恐怖感を持つようになる
●強圧的な押しつけに抵抗できない自分に無力感を持つようになる
●叱られ続けることで自己肯定感が持てなくなる
●食事の時間が怖くなり、食べること自体に否定的な感情を持つようになる。それは生きることの否定にもつながりかねない

このような副作用のリスクを軽く見るべきではありません。たとえ苦手なものを食べられるようになったとしても、その代償として大切なものを失ってしまっては意味がありません。

それよりも、明るく楽しく食事をすることを最優先してください。
食べることは人生最大の喜びの一つです。子どもが好きなものをたくさん食べさせてあげてください。そうすれば、みんなで食卓を囲む時間が大好きになり、食べることに喜びを感じ、生きる喜びを味わえます。
そのような幸せな食卓で楽しく食べているうちに、だんだん苦手なものも食べられるようになるということもあります。自分が苦手なものを保護者やきょうだいがおいしそうに食べているのを見て、自然に食べてみたくなることもあります。
子どものころ苦手だったものでも、大人になるにつれてだんだん食べられるようになることもありますし、ある日突然食べられるようになることもあります。
また、たとえそうならなくても、実際にはそれほど困りませんので大丈夫です。

繰り返しますが、無理のない範囲で保護者にできることをしてあげてください。でも、それでも食べられないなら目をつむりましょう。
副作用による大きな代償を払ってまで、子どものうちに直す必要はない、ということを言いたいわけです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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