叱られるとすぐ人のせいにします[教えて!親野先生]

【質問】

 

1年生の長女が、叱られるとすぐ人のせいにします。一昨日お手伝いのことで叱ったら「だって、ママが……」と私のせいにし、次の日片づけのことで叱ったら「だって、はるちゃんが……」と妹のせいにしました。妹は出かけていて明らかにウソなので、「なんでウソをつくの。人のせいにするのはずるいことだよ」と言い聞かせましたが、わかっていないと思います。このままだと、なんでも人のせいにする大人になってしまうのではないかと心配です。どうしたら、素直に自分の非を認められる子になるのでしょうか? (アラマレディ さん:小学1年生女子)


叱られるとすぐ人のせいにします[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

アラマレディさん、拝読いたしました。

子どもはよく人のせいにします。ウソをついたり人のせいにしたりというのは、子どもにはありがちなことです。
なぜなら、子どもは大人の強権におびえる弱い存在であり、自分を守らなくてはならないからです。でも、深く考えているわけでもありませんし、イマイチ頭が回らないところがあるので、すぐばれてしまうのです。

でも、そんなに心配は要りません。
親が叱ったり問い詰めたり責めたりするのをやめれば、子どもも人のせいにすることはなくなります。そういう必要がなくなるからです。
「なんでウソをつくの。人のせいにするのはずるいことだよ」と言い聞かせたとありますが、このような言い方はたいへん危険です。子どもは「お母さんは私のことをウソつきと思っているのかも。ずるい子だと思っているのかも」と感じる可能性が高いからです。そして、親がそういうことを言えば言うほど、子どものほうではそれが確信に変わっていきます。
親のほうはそんなつもりで言っているのではありませんが、聞くほうはそう受け取ってしまうのです。これが否定的な言葉の持つ恐ろしさです。

そもそも、元を正せば、子どもが言い訳せざるを得ない状況に親が追い詰めているのです。子どもは、「なんで片づけないの? 片づけなきゃダメでしょ」などと言われれば、「だって……」と答えざるを得ません。そして、たいていの場合「だって」のあとに続けるうまい理由は見つかりません。そこで、最も簡単なのが身近な人の名前を挙げることです。
それを聞いて、親が「この子は人のせいにして責任逃れをしている。なんてずるい子だ。今のうちに直さないと、なんでも人のせいにする大人になってしまう」などと考える必要はありません。
親がこういう思いが強いと、それが注目ポイントになり、そのことで注意することがますます増えます。すると、子どもはますます自分を守らなくてはならなくなり……、ということで、悪循環が始まります。

そうならないためには、親が追い詰めるのをやめて、子どもが言い訳をしなくてもよいようにしてあげれば良いのです。
片づけしてなかったら、「さあ片づけよう」と単純に指示する言葉で言いましょう。「ママも手伝ってあげるから片づけがんばろう」「ママと片付けよう」「ママと競争だよ」なども良いですね。「またあなたは言われたことができなくて……、どうのこうので……」と余分なことを言わないで、やるべきことを明るいトーンで単純に言ってあげましょう。
「1分でお片づけできるかな。時間計ってあげるね。用意……、まだまだ、フライングだよ。さあ、用意、ドン」とやれば楽しいですね。
あるいは、はじめに「楽しく遊べたね」とか「すごく上手にできたね」などとほめて、そのあとで「じゃあ、片づけもがんばろう」と言えば子どもも張り切って片づけます。

多くの人がつい叱ってしまうところで叱るどころかほめることができる、そして物事を良い方向に持っていける、そういうスキルが身につけば親として大きな成長です。それは人間としてのレベルアップでもあります。
しかも、それはそんなに難しいことではありません。外国語ができるようになるとか、ピアノが弾けるようになるとか、そういうことに比べてはるかに簡単です。

心構えさえあれば、今の今からすぐにできます。そして、決意さえあれば永久に続けられます。その気になれば、一瞬にして自分を変え、二度ともとの自分に戻らないでいることができます。

ポイントは、何か言うとき相手を「責めない。とがめない。非難しない」ということです。そういう要素を入れずに話すことです。
もっと具体的に言えば、否定語をやめるということです。「また○○してない。なんで○○しないの。○○しなきゃダメでしょ」などの言い方をやめましょう。
そして、今書いたような、お互いが気持ちよくなるような言い方に自己翻訳して言ってください。それが無理なら、せめて単純に指示する言葉を明るいトーンで言ってあげましょう。

そして、もう一つ大事なのは子どもに対して常に共感的に接することです。
子どもが何か失敗したり愚痴を言ったりしたときも、責めるのではなく共感的に接しましょう。
そうすれば、子どもは安心して失敗でもなんでも正直に話せるようになります。そうしたら、「正直に言ってくれてありがとう」と言ってあげましょう。

これらのことに心がけていれば、子どもは言い訳やウソを言う必要がなくなります。
日々安らかで明るい気持ちで生活できます。
もちろんまともで健やかで立派な大人に成長してくれます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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