もと担任を恨む気持ちが抜けません[教えて!親野先生]

【質問】

 

娘が4年生のとき、担任の先生と馬が合わず、良いところを見てもらえず叱られることばかりでした。それで、何事にもやる気をなくし、すごくがんばっていたピアノもやめてしまいました。6年生になった今、娘は元気にやっていますが、親の私はすっきりしていません。あのときピアノをやめずに続けていたら今頃は……などと思う気持ちもあります。親として、その担任を恨む気持ちが抜けません。(カピバラ さん:小学6年生女子)


もと担任を恨む気持ちが抜けません[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

カピバラさん、拝読いたしました。

たしかに、先生と子どもの馬が合わないことはあります。先生のほうで、馬の合わない子どもには意識的に気を配る必要があります。そういう子とは意識的にコミュニケーションを図り、優しい声掛けをし、良いところを見つけ出してほめることが大切だと思います。
意識的にそうしている内に、だんだん良い関係ができてくることはよくあることです。自然に任せているだけでは、一部の子たちと大いに親密になる一方で、かなり疎外感を持つ子どもたちも出てきてしまいます。
このことは、担任と子どもの関係だけでなく、親と子の関係についても当てはまることです。たとえ親子でも、馬が合わないことはあるのです。それは人間関係の組み合わせにおける確率の問題であり、めずらしいことではありません。
ですから、親も自然に任せているだけではいけません。馬が合わないと感じる子とは、意識的にコミュニケーションをはかることが大切です。

さて、ご相談のカピバラさんはこれからどうしたらよいでしょうか?
私は、はっきり言って、いつまでも恨む気持ちを持っていても仕方がないと思います。仕方がないどころか百害あって一利なしだと思います。
親がそういう気持ちを引きずっていると、子どもにも影響が出ます。
人を恨む気持ちや過去を悔やむ気持ちは、重い荷物のようなものです。それは、心全体を重くします。それは、自分のためにも子どものためにもなりません。
あの先生のせいでこうなってしまった……。
あの人のせいでうまくいかなくなってしまった……。
ああいうことがあったせいで……。
常にそういう気持ちでいると、何をやってもうまくいかないような気がしてきます。心全体がマイナス思考になっていくのです。そして、何かうまくいかないことがあるたびに、またすべてをそのせいにするようになります。悪循環が始まってしまうのです。人生の巡り合わせで、合わない人と出会うことはあります。まずいことが起こることもあります。でも、それをいつまでも引きずるとよけいにまずいことになってしまいます。ですから、もうきれいさっぱりそのこととは丸ごと縁を切ってください。

私は、誰かにじっくり話を聞いてもらうのも良いと思います。共感的に聞いてくれる人が一番良いでしょう。友達、兄弟、家族、カウンセラー、とにかくたっぷり共感的に聞いてくれる人です。ため込んでいた不満を吐き出して、新しい気持ちになるために聞いてもらうのです。
「私もうこのことを終わりにして生まれ変わりたいから、たっぷり共感的に聞いてね」と宣言してから聞いてもらうのも良いかもしれません。

心にわだかまっているものを吐き出して、心を軽くすることが大切です。
そして、新しい一歩を踏み出しましょう。その担任の先生も許してあげてください。とんでもない先生だったかもしれませんが、それがその人の精いっぱいのところなのです。
人間はみんな自分の限界を抱えています。持って生まれた資質、育った環境、現在の状況など、いろいろな事情を抱えているのです。そして、その人がそういう人であるのは仕方のないことであり、本人にもどうしようもない部分も多いのです。私も、あなたも、もっとすばらしい境地の人から見れば、それぞれに仕方のない状態にあるのです。
でも、私もあなたも許してもらっています。ですから、その担任の先生も許してあげてください。

そして、何より、人を許すのは自分のためなのです。人を恨んでいても、良いことはひとつもありません。自ら進んで重荷を抱え込み、暗い気持ちでいるのは得策ではありません。「人を呪わば穴二つ」と言います。自分で掘った穴に自分も落ちてしまうわけです。
あなたがその人を許すことができれば、心から重荷がなくなります。明るく前向きな気持ちで新しい道を進むことができます。そして、自分が壁を乗り越えた分だけ成長したことに気付くでしょう。

その乗り越え方は、また何かうまくいかないことがあったときにも応用することができます。相手を許し、つまらない過去とすぐおさらばできるようになるのです。常に風通しが良く、新鮮でオープンで、明るく前向きな精神状態でいられるようになるのです。
なぜなら、あなたはコツを学んだからです。本で読んだ知識としてではなく、自らの得難い体験をとおして身に付けた人生の智恵です。それは、子育てのことだけでなく、仕事においてもその他の何においても使える人生の智恵です。
そうなれば、あなたはその人に感謝したくなるかもしれません。なぜなら、それを教えてくれたのはその人だからです。
人生では、日々新しいことが山ほど起きています。つまらない過去にこだわっていては、それを味わい楽しむことができません。もったいないことです。

これをお読みの皆さんの中にも、何かしら過去を引きずっている人は多いと思います。ぜひ、重荷をなくし心を軽くしてください。重荷から自由になり新しい人生を展開しましょう。日々新しい人生に、はつらつと臨んでいきましょう。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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