引っ込み思案な娘が心配です【後編】[教えて!親野先生]

今週の相談

 

6歳の長女が、引っ込み思案で悩んでいます。仲のよい友達は何人かいますが、幼稚園では先生に言いたいことがあってもなかなか話しかけられずに、泣いてしまっているようです。友達の輪にも入っていけません。送り迎えで同じクラスの子を見かけると、私の後ろに隠れてしまいます。そういった行動に私もイライラし、ついカッとなって、怒ってしまいます。実は私自身の子ども時代とよく似ており、私も両親から「アンタはうじうじしててイライラする」等言われて育ちました。こんな親には絶対なりたくないと思っていたのに、まったく同じような育て方をしてしまっており、愕然(がくぜん)としています。来年から小学生になるので、もう少し自分の言いたいことをしっかり言えるようになってほしいのですが……。(もん さん)

 

【親野先生のアドバイス】

もんさん、拝読いたしました。

前回に引き続き、もんさんへのアドバイスです。

子どもはその子のオリジナルペースで成長していきますから、まったく大丈夫です。

引っ込み思案や消極的ということだけにかかわらず、片付けができない、てきぱきできない、なんでも遅い、やるべきことをやらない、勉強ができない、などなど、すべてにおいて同じことが言えます。
すべてにおいて、その子のオリジナルペースで成長しているのですから、まったく大丈夫です。

ただ、問題は親の気の持ち方です。
もちろん、親としては子どものことが心配になると思います。
まったく心配にならない人はいないはずです。
心配になるのが普通ですし、それは親の愛情の表れでもあるのです。

でも、その心配のせいでイライラしたり子どもを傷つける言葉をぶつけたり叱りつけたりということは絶対やめてほしいのです。
これらはすべて逆効果であり、百害あって一利なしです。
これらは、子どものオリジナルペースでの成長を大きく乱すものです。
はっきり言わせてもらえば、親が横やりを入れて子どもの健全な成長を妨げているのです。

第一に、子どもはますますそれができなくなりますし、すべてにおいて自分に自信が持てなくなってしまいます。
さらに、イライラをぶつけたりひどい言葉をぶつけたり叱りつけたりする相手に対しては、どうしても不信感を持つようになっていきます。

もしかしたら、好かれていないのではないか、大切に思われていないのではないか、愛されていないのではないか、そういう気持ちが出てきてしまうのです。
これは親の愛情への不信です。
いわゆる愛情不足と呼ばれるものです。

親は愛していると思っていても、まったく反対のものが子どもに伝わってしまうのです。

それについて、子どもには何一つ責任はありません。
すべては親の責任なのです。

ですから、親としては心配している気持ちをそのまま子どもにぶつけないことが大切です。
そのためには、どの子にもその子独自のオリジナルペースがあるということをしっかり頭に入れておいてください。
前回挙げたいくつかの実例を時々思い出してください。
それに、「私自身の子ども時代とよく似ており」とのことですから、自分のことも実例の一つにしてください。

親は、子どもを信頼して待つことが大切です。
人生80年以上の長いスパンを視野において、大きく広い心で子どもを温かく見守ってやってください。

子どものありのままを受け入れて、許し寄り添うことが大切です。
これがこの子のありのままなんだ、この子はこれでいい、この子のオリジナルペースでいい、そう考えて受け入れてやってください。
それが、大きく広い心で子どもを温かく見守るということの意味なのです。

もちろん、できないことができるように教えたり手助けしたり、自然にできるように合理的な工夫をしたりすることも時には必要です。
でも、その子の実状に合わせた少しずつの歩みでいいのです。
決して無理はいけません。
子どものできないことや苦手なことを、直そうと思いすぎないことです。
親としてできることはしつつも、結果は求めないことが大切です。

少しでもできたらほめてやり、または、ほとんど変わらなくてもあたかもできてきたようにほめてやってください。
苦手なところばかりに目をやらないで、少しでも得意なところやいいところを見つけてほめてやってください。

子どものありのままを受け入れて、ほめることに重点を置いてやっていれば、親自身の気持ちがとても安らかになります。
親が安らかになると子どもも安らかになります。

毎日を心安らかに過ごせるようにしてやることが、他の何よりも大事です。
毎日を心安らかに過ごすことで情緒が安定してきます。
そういう生活の中でこそ、自分という存在を肯定する気持ちが育ちます。
そういう生活の中でこそ、親への信頼感、そして自分を取り巻く周囲全体への信頼感が育ちます。

こういうことが一番大事です。
これが最大のポイントです。
このようにして、我が子を育てるという二度とないすばらしい時間を楽しんでください。

子どものありのままを受け入れること、それさえできれば、子育ては人生で一番楽しいひとときになるのです。

そして、春が来れば、雪が解けて自然に花は開きます。
その時がくれば、子どもの花は開くのです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
もんさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。



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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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