頑張って入学した私立中学校で落ちこぼれてしまったら?[教えて!親野先生]

次に、ご相談のみかんさんのお子さんの場合について、これからどうしたらいいか考えていきたいと思います。

選択肢としては、四つあると思います。
1.今の学校に通い続ける
2.別の私立中学校に行く
3.地域の公立中学校に行く
4.地域外の公立中学校に行く

まず、1についてです。
私立中学校では、毎年同じような問題をもつ子が必ず出ているはずです。
ですから、学校には、そういう場合の指導経験の蓄積があるはずです。
ぜひ、もう一度学校の先生に悩みを打ち明けて、相談してみるといいと思います。

もしかしたら、学校側にみかんさんの悩みが十分伝わっていないのかもしれません。
そこで、改めてアポイントを取って、相談してみるといいでしょう。

担任の先生だけでなく、主任の先生、管理職の先生、保健の先生、カウンセラーなどにも関わってもらうとさらに効果があると思います。
また、学校によっては、このような場合の適応指導専門の先生がいるところもあります。

勉強以外の活躍の場、夢中になれるもの、良い友達関係などを作ることも大事です。
このようなことで、学校のなかに自分なりの居場所ができれば事態が好転することもあります。

ただ、勉強面では、今後もつらい状態が続く可能性は高いと思います。
その中学校でどの程度の補習や個別指導をしてもらえるかも、知りたいところです。

次に、2についてです。
このような場合、もう少し余裕をもてそうな私立中学校に転校すると、一気に問題が解決することもあります。
もちろん、必ずというわけではありませんが、可能性は十分あります。

今の学校は通学時間が往復で2時間とのことです。
これは中学生にとってはかなり大きい負担と言わざるを得ません。
気持ちが前向きになっているときは、通学時間も有効活用しようという気になるかもしれません。
でも、気持ちが後ろ向きのときは、ただ漠然と過ごすだけになりがちです。

この2時間の通学時間は、生活全般を圧迫してくると思います。
さらに塾通いもあるとのことですから、なおさらです。
ご相談の文面から察するに中高一貫校のようなので、これが6年間続くことになります。

勉強面で楽になれば、気持ちに余裕が出てきます。
これがとても大きいと思います。
いつも追われているような状態から脱して、また小学校時代の余裕を取り戻すことができるかもしれません。

ただ、問題は、本人の気持ちです。
せっかく入った私立中学校をやめることには、当然ながら一種の挫折感が伴います。
ですから、本人は気が進まないのでしょう。

でも、それも一過性のものになる可能性は大きいと思います。
新しいところで、心機一転してうまくいけば、それほど尾を引かないかもしれません。


次に、3についてです。
本来通うはずだった地域の公立中学校に転校すれば、友達関係はまた元通りうまくいくと思います。
必ずではありませんが、可能性は高いでしょう。
勉強面も問題ないでしょう。

公立中学校だと高校受験が待っているということはあります。
でも、それは今それほど考えなくてもいいのではないでしょうか。
それに、ほとんどの子が高校受験をするわけですから、それほど苦にならないと思います。
自分の力で行けるところを選べば、受験勉強中も高校に入ってからも余裕をもってやれます。
無理してつま先で立ち続けるようなことをする必要はないと思います。

ただ問題は、周りの目と本人の気持ちです。
それもあって、本人は地域の公立へ戻ることは気が進まないのでしょう。
でも、2と同じように、うまくいけば尾を引かないかもしれません。

公立中学校の担任に頼んで、戻ってきた理由には触れないように周りの子どもたちに言ってもらうのもいいでしょう。
または、何か差し障りのない理由を挙げておくのもいいでしょう。

もちろん本人があっけらかんと正直に言える子であれば、そんな必要はありません。
でも、なかなかそうはいかないかもしれません。
これは、本人の性格によるところが大きいと思います。

次に、4についてです。
地域外の公立中学校に行けば、周りの目を気にすることは少なくなると思います。
ただ、それが可能かどうかということが問題です。
教育委員会に相談することが必要になります。

以上四つの選択肢を見てきましたが、決定は親子や先生で相談して行う以外ありません。

まず、子どもに自分の気持ちをたっぷり話させるといいと思います。
とは言っても、年齢的にも、なかなか言わないかもしれませんが。

それでも、子どもの気持ちをできるだけ表現させて、受容的に聞いてやる努力は必要です。
話すだけでも気持ちがすっきりして、ストレス解消になります。
また、本人自身もよくわからない自分の心の内が、だんだん整理されてくるということもあります。

そして、四つの選択肢の得失をさらに吟味してほしいと思います。
私がここで書いたのは、ごく一般的なことに過ぎません。
いろいろな要素がもっとたくさんあるはずですから、それらを書き出して整理するといいと思います。
頭だけで考えるのではなく、箇条書きや表にしてみることで見えてくるものもあります。


最後に、今回このようなことで悩んでいることは、長い目で見て決して無駄にはならないということを付け加えておきたいと思います。
もちろん、今はとても苦しい状態です。
でも、子どもにとっても親にとっても、この苦しさのなかで身に付くものが必ずあるのです。
あとになってみれば、良い経験だったということに必ずなるのです。

そう考えれば少し余裕が出てくるはずです。
そして、親としては、あまり悲観的になりすぎないで、冷静になることです。
そして、大いに頭を使って、いろいろな人にも相談して、情報も集めて、選択肢の得失を見極めてください。

それらをしながらも、もちろん今現在の子どもの心のケアにも十分な配慮をしてください。
子どものストレス解消と親自身のストレス解消、この両方が大事です。

このように進めれば大丈夫です。
絶対乗り越えられます。
今のことを笑って話せる日が必ず来ます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みかんさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。


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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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