子どもが言うことを聞かない!?そのルールを作ったのは親です。「モデルなき時代」に出来ることとは

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個人差はありますが、思春期に差しかかる小学校高学年。今までは言うことを聞いてくれたのに、今は全然聞いてくれない、子どものことがわからないという親御さんからの声は少なくありません。価値観が多様化し、「モデルなき時代」といわれる今、親ができることはあるのでしょうか。今すぐ始められることについて、ファザーリング・ジャパン顧問の小崎恭弘先生にお聞きしました。

この記事のポイント

「子どもが言うことを聞かない」そのルールをつくったのは誰?

——小学校高学年になると、なかなか親の言うことを聞いてくれなくなります。成長の過程としてよくあることとわかっていても、親は受け入れられないこともあると思います。どうすればいいのでしょうか。

子育てをしていると、楽しいこと・いいことばかりではありません。勉強しない、野菜を食べない、ずっとゲームばかりしている、スマホばかり見ている、何を考えているかわからないなど、子どもに対する悩みも家庭によって違います。僕は最近、そういった悩みを解決することを、初めから諦めている親御さんがすごく気になります。では、その「言うことを聞かないルール」をつくってしまったのは誰なのかを考えてほしいのです。初めから言うことを聞かなかったわけではないと思うのです。それは親だけを責めているのではなく、子どもも一緒に話し合って、家族のルールを変更していく必要があるのではないかと思います。

一度つくったルールは変えられないと思い込んでいるご家庭も多いのですが、家族内でつくったルールは、変更が可能です。子どもが小さいころに親がつくったルールが、ずっとフィットするはずはないですし、夫婦の家事分担などにしても、子どもの成長や働き方の変化などに伴って、負担が生じる部分は変化しますから、状況に応じて柔軟に変えていく必要があります。

夫婦ミーティング・家族ミーティングの機会をつくって

——ルールを変更するためには、どんな形がスムーズにいくのでしょうか。

お互いの現状や考え、希望を共有し合うためにも、夫婦ミーティング・家族ミーティングをする機会をつくるのがおすすめです。ルールを変更するためや、困ったことを相談するだけではなく、「夏休みになったら家族でどこに行こうか」など、家族の楽しい計画を立てるのもいいでしょう。

子どもが思春期に入ると、子どもの態度や言動が悪く、そのミーティング自体を拒否されることもあるかと思います。でも、本人はその態度や言動が、家族に嫌な思いをさせていると、意外と気付いていなかったりもします。そんな時は、「今のは態度が悪いよ、感じが悪いよ」と本音を言えばいいと思います。親は子どもに対して、清く正しく美しく生きていかないといけないというしんどさもあると思いますが、子どもの成長に合わせて、親としてだけでなく、子どもと対等な話をしていくといいのではないでしょうか。

そしてミーティングでは、子どもの話だけでなく、父親や母親が家族に相談をしてもいいと思います。私自身も働き方が大きく変化しそうだった時、少なからず妻や子どもの生活にも影響が出るだろうと思い、相談しました。相談することで、うまく回していくために変更すべき点はないかを考える機会になりますし、親が今どういう状況なのかを子どもにも知っておいてもらえるということで、互いに安心につながったと思います。そのとき、話し合える関係でよかったな、と実感しました。

子どもと話し合う時は、親の知識もアップデートを

——子どもと話し合う時に、気を付けたいことはありますか。

今はあらゆることで選択肢が多いため、親も迷ってしまうのと、社会の変化が大きくて速いので、親自身の経験値が役に立たないという現状があります。受験でいえば、私は長男が高校受験をする時に、自分の時代にはいいと言われていた学校と、そうではない学校が逆になっていてびっくりしましたね。受験制度も全然違いますし、昔の経験値で話をしていくとギャップが出てくるので、そういう意味では、今はどうなのか正しい情報を親も学ぶ必要があるのではないでしょうか。

——親もアップデートしていかなければいけないということですね。

十年一昔といいますが、今は5年、3年で大きく変わっていっている印象なので、親の知識をアップデートすることは大事だと思います。ただし、「今はこうだから」という流れに全部沿って同調していく必要もないと思います。勉強面だけでなく、子どもに持たせるお小遣いの額、どこまで子どもだけで遊びに行かせていいのか、携帯電話を欲しがるが持たせていいのかなどは、家庭ごとに考え方が違い、差が出てくる部分ですから悩ましいことでしょう。でもそこは、我が家では何を大事にしたいのか、を考えて判断すればいいと思います。その考えを大事にすることを選択できる社会でもあります。ぜひ家族で考えていってほしいですね。

まとめ & 実践 TIPS

子どもが言うことを聞かないのは、そうなってしまうルールをつくっているからではないでしょうか。自分たちでつくったルールは変更可能ですから、子どもの成長や家族の変化に合わせて柔軟に変えていきましょう。夫婦ミーティング・親子ミーティングを開いて日頃から話し合える機会を持つことを意識するといいでしょう。ミーティングでは、誰かの意見を押し付けるのはNG。親もアップデートしながら、我が家なりのルールをつくっていけるといいですね。

取材・文/本間勇気

プロフィール

小崎恭弘

小崎 恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育コース(保育学)教授

兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の息子が生まれるたびに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリング・ジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信を行う。2014年に出版した『男の子の本当に響く叱り方・ほめ方』(すばる舎)が子育て関連本で大ヒット。そのほかにも『育児父さんの成長日誌』(朝日新聞社)、『パパルール』(合同出版)など、著書多数。新聞等で連載を執筆。

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