言わなくても自らやる子どもはこうして育まれる[やる気を引き出すコーチング]

「うちの子どもが勉強しないんです」、「うちの子どもが片づけをしないんです」など、お子さんが自発的に動いてくれないことをなんとか解決したいと思って、コーチングを学びに来られる方も非常に多いです。

何回かコーチング講座に通ううちに、しだいに変化が生まれます。気がつくと、何も言わないのに、子どもが勉強するようになった、自分で動くようになったなどの改善が見られます。この結果に至る前に、必ず起きている変化があります。この変化が早く起きるほど、お子さんの変化も早いです。さて、このお子さんの変化の前に必ず起きる変化とは何だと思いますか?

親が取り組んでいることを子どもは見ている

これは、4ヶ月間、コーチング講座に通っていただいているAさんのお話です。

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どうしたら、自分の心にゆとりが持てるのかを考えてみたら、毎日、朝のうちに、夕食の準備と洗濯が終わっていることだなと思ったんです。そこで、それをなるべく終わらせるようにやってみました。確かに、それができると、とてもすっきりして、1日余裕を持って過ごせるんです。そうしたら、子どもがピアノの練習をしないことも、言ったことをやっていないこともあまり気にならなくなりました。

夕食の準備ができたら、冷蔵庫に貼ってあるカレンダーにシールを貼ることにしました。洗濯が終わった時もシールを貼ります。そうすると、達成感が湧いてきて、より一層すっきりします。それを見ていた子どもが、自分もピアノの練習をしたらシールを貼る!と言って練習をするようになりました。やったりやらなかったりはあるのですが、前よりは、自発的にやることが増えてきたように感じます。

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お子さんはまだ4歳だそうですが、この歳から自分で考えて自発的に動く習慣が持てることはすばらしいことだと思いませんか。Aさんが取り組んでいることを見ていて、自分もやってみようと思ってやってみる、これこそが、究極のコーチングではないかと感じます。

「勉強しなさい」と言っている親が、スマホやテレビに熱中していたら、子どもは勉強しようとは思わないでしょう。親も、自分を高めるために、何かに取り組み始める、こうした親の変化があって、子どもの変化が起きます。「うちの子が~しない」という視点から「自分は何をするのか?」という視点に切り替わることが先なのです。

自分自身が良い状態でいる

「自分が心のゆとりを持つためにどうしたら良いのか?」についてのAさんの取り組みは、効果的なコーチングをする上でも、とても大切なことです。子どもの話を聴くことは大切だとわかっていても、こちらにゆとりがないと聴けません。できていないことを指摘するよりも、できていることを承認しようと思っても、こちらが良い状態でないと、できていることに目を向けることすら難しい時があります。

「子どもが~してくれない」と、子どもを主語にして考えるのではなく、「私はどういう状態だと心にゆとりが持てるのだろう?」など自分を主語にして考えてみることをおすすめします。Aさんのように、夕食の準備と洗濯が終わっていると心にゆとりが持てるなど、自分にとっての効果的な方法を見つけて取り組んでみます。子どもに対して直接的に働きかけるのではなく、まず、自分を整えることに取り組むと、お子さんとの関係性も劇的に変化します。問題なのは、「子ども」ではないのです。まず「自分」です。そこに気づいた人は、いち早く望む結果を手にします。

だからと言って、「自分を責めましょう」と言っているわけではありません。まずは、自分がいつも心穏やかに良い状態でいられるために自分は何ができるかを考えて、始めてみるのはどうでしょう。子どもに「~しなさい!」と言い続けるよりよほど近道です。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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