来るべき教育「大改革」、保護者はどう受け止める?

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出生数80万人割れに伴う労働人口の更なる縮小、生成系AI(人工知能)に代表される急速な技術の進展により仕事が次々と機械に置き換わっていく可能性……。22世紀まで生きる可能性が高い現在の子どもたちの将来には、想定外の困難が待ち構えています。
実は今、そんな時代に備えるための手が打たれ始めています。今後の教育は、どうなるのでしょうか。

この記事のポイント

1人1台端末で変わる「教室」の風景

学校では新型コロナウイルス禍をきっかけに、1人1台のICT(情報通信技術)端末が当たり前になりました。

授業も今後、一斉指導中心から「個別最適な学び」へと変わっていくことが求められます。
端末を使うことで、一つの教室にいても、一人ひとり、またはグループで、それぞれ違う課題に取り組むことが可能になります。

そうなると、必ずしも教室に集まる必要はなくなるかもしれません。
端末を持ち帰れば、家でも教室にいるように授業を受けることができます。

不登校や、入院している子などにも朗報です。
翻訳ソフトを導入すれば、外国の人との交流もしやすくなりますし、何より日本語の不得手な児童生徒でも授業に参加しやすくなります。
障害がある子にも、普通学級の壁が低くなることが期待されます。

時代の変化に必ずしも対応しない現行制度

そんな可能性の広がりに対して、今の学校教育制度は、クラスに集められた数十人の児童生徒を、1人の先生が教えることを前提に設計されています。
それが行き過ぎた指導や、いじめ・不登校などの温床になっている面も否めません。

一方で、社会性を身に付けさせるためには、多くの人たちとのやりとりは欠かせません。閉塞的な学校の在り方を見直す一方で、引き続き集団を通した教育を行う学校の役割も今後なくなりはしないでしょう。

激しい時代の変化を感じる世代だからこそ

先行き不透明な時代の社会課題には、必ずしも一つの正しい答えがあるとは限りません。
みんなで話し合って合意を取り付け、「納得解」の下に挑戦し、事後に修正していく必要も出てきます。
そんな時代に備えるには、早く答えを見つけるテストに向けた勉強ばかりでは持ちません。

今の学習指導要領の下でも、「何を知っているか」だけでなく「何ができるようになるか」を重視した教育が行われています。
今後ますます、その方向性が強化されそうです。多くの知識を覚え込むより、AIには決して身に付けられない感性や倫理性も発揮して、新たな価値を生み出す——そんな力の育成を視野に入れた指導要領の改訂にも、既に準備が始まっています。
そんな指導要領の改訂と、学校制度の改革が今、セットで行われようとしているのです。

まとめ & 実践 TIPS

保護者の子ども時代と今では、すっかり様変わりしていることも多いのではないでしょうか。
子どもたちの将来も、今と同じだと思ってはいられません。
少なくとも同世代が減り続ける中では、今のような受験体制がいつまでも続くことはありません。
激しい時代の変化を肌で感じているはずの保護者だからこそ、子どもたちの教育を柔軟に考える心構えが必要ではないでしょうか。

渡辺敦司

内閣府 Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kyouikujinzai/index.html

第11期中央教育審議会の審議状況及び第12期の審議事項
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1415607_00015.html

中教審 義務教育・高校教育ワーキンググループの各論点整理
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/1416449_00022.htm

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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