2022年度全国学力テストは前回となにが変わった?学力テストの本質と教育者へのメッセージとは

2022年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が、4月19日に行われました。

今回は、中学校でも新しい学習指導要領(2021年度から全面実施)にもとづく問題が出されたことと、例年の国語と算数・数学に加え、理科が出題されたことが、大きな特徴です。

小学校算数では、プログラミングの問題が出されたことも話題になりました。ここから、何を読み取るべきでしょうか。

この記事のポイント

学校や自治体の対策にも生かす

全国学力テストは、原則として小学6年生と中学3年生の全員を対象に、毎年この時期に行われています。

残り1年間でしっかりと学力を付けてもらうことはもとより、結果をもとに、各学校が授業を改善したり、自治体が必要な施策を講じたりしてもらうことも期待しています。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になりました。

2012年度から理科、2019年度から英語が、3年に1度程度、追加して出題されます。
理科の出題は、今回が4回目になります。国語と算数・数学は、長らくA問題(知識)とB問題(活用)に分かれていましたが、2019年度からは統一されています。

小学校は既に2021年度の全国学力テストで、新指導要領(2020年度から全面実施)にもとづいた問題が出されています。今回は、中学校も対象になりました。

タブレットの活用場面多く

そんな特徴が色濃く反映したのは、中学校の理科です。
第1問は「タッチパネルを科学的に探究する」。コロナ禍で一気に実現した1人1台端末をめぐる問題ですが、内容はエネルギーに関することです。
ただ、第2問「天気の変化を科学的に探究する」も、百葉箱の観測データとタブレットの画像をもとにした出題です。

中学校の国語でも、文書作成ソフトを使った下書きやコメント、集めたウェブページの資料を取り上げました(第2問「意見文を書く」)。同数学では、総合的な学習の時間に調べた環境問題(二酸化炭素の削減)のグラフに関するものです(第8問)。

授業改善へのメッセージ

全国学力テストは、単に児童生徒の学力を測るだけでなく、教委や学校に、指導要領が目指すものは何なのかを、問題の形で具体的に示す意図も込められています。実際の授業場面が多く出題されているのも、こんなふうに授業を改善してくださいよ、という具体的なメッセージです。

新指導要領は、どの教科等も「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」という「資質・能力の三つの柱」で統一的に整理し、教科横断の学びや、実社会や実生活と関わらせることも求めています。
また、言語能力とともに、情報活用能力を、すべての教科等の「学習の基盤」と位置付けました。

まとめ & 実践 TIPS

「テスト」というと、つい一点でも高い点数を取るための勉強を思い起こしがちですが、あくまで正式名称が「調査」であることに注意が必要です。

児童生徒にとっては、普段の授業をがんばることが第一です。学校には、情報通信技術(ICT)機器も日常的に使いながら授業を改善し、これからの社会に必要な資質・能力を育成することが求められます。全国学力テストは、そんな狙いを目に見える形で示してくれるものなのです。


国立教育政策研究所「令和4年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・解説資料について」
https://www.nier.go.jp/22chousa/22chousa.htm

文部科学省ホームページ「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/index.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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