教員免許更新制「廃止」後はどうなる?廃止のねらいと先生の在り方とは

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10年余りにわたって続いてきた教員免許更新制を「廃止」する方針が決まったことが、大きなニュースとなりました。2022年の通常国会で、関連法案が審議されています。法案が成立したあとは、どうなるのでしょうか。

この記事のポイント

自信を持ってもらうはずが…疑問や不満も

教員免許更新制は、先生に自信を持って教壇に立ち続けてもらうため、2007年の法改正で制度化されました。2009年4月以降に発行される免許状には、10年間の有効期限が付けられています。
更新するには、期限前2年間のうちに、大学などで行われる30時間の更新講習を自分で探して自費で受講し、都道府県教育委員会に申請して修了確認を受けることが必要です。

それ以前に免許を取った人については、あとから期限を加えることは法的にできないため、35歳・45歳・55歳の人に更新講習の受講を義務付け、やはり2年間のうちに修了確認を受けなければ、免許が失効するという仕組みにしました。

しかし学校現場の多忙化も相まって、更新講習の受講ができなかったり、申請を忘れてしまったりするなどして、全国で毎年100人前後の「うっかり失効」が出ることも問題になっていました。また、更新講習が本当に役に立つのか、疑問や不満の声が根強かったことも否めません。

代わりに教委が研修の受講を記録

そこで2021年3月、萩生田光一文部科学大臣(当時)が、中央教育審議会(中教審)への諮問の中で、更新制の「抜本的な見直し」を要請しました。中教審の特別部会は同11月、更新制を「発展的に解消」することを求める審議まとめを行い、末松信介文部科学大臣に提出。2022年2月の法案提出となりました。

今回の法案では、公立学校の先生を任命する教育委員会に、教委が実施したり認定したりする研修の受講記録を、教員ごとに作成することを義務付けています。研修が先生の資質向上につながるよう、指導助言も行います。

養成・採用も含め「本丸」検討へ

そもそも2021年3月の諮問は、更新制に限らず、「養成・採用・研修等の在り方」という幅広いものでした。審議まとめのあとは、特別部会の下に小委員会を設け、中教審の関連部会とともに、総合的な在り方を集中審議しています。

法案が成立すれば、更新制は2022年7月に廃止されます。一方、養成・採用・研修等の在り方に関しても、同年夏ごろまでに一定の結論を出すことになっています。

まとめ & 実践 TIPS

中教審の特別部会が更新制の発展的解消を求めたのも、新研修制度などによる「新たな教師の学びの姿」を実現するうえでの阻害要因になる、との理由からでした。
「新たな教師」にどのような資質能力が必要で、そのための「学びの姿」をどう描くのか。中教審の議論は、むしろ更新制の「廃止」後が本丸なのです。

教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案
https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00023.html

中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第6回)・基本問題小委員会(第1回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第127回)合同会議資料
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2021/1422489_00012.html

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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