義務教育「無償」のはずが…小学校でも年10万円以上 教育費負担見直しの意図とは

憲法では「義務教育は、これを無償とする」(26条)とされています。ただし、これは授業料を取らないという解釈が確定しており、学校教育に関わる関連費用は当然かかります。
実際、どれくらい掛かるのでしょうか。

この記事のポイント

中学校は18万円以上、さらに学校外教育費も

2021年10月27日に開催された内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)「教育・人材育成ワーキンググループ(WG)」の配布資料に、興味深いデータがあります。
学校教育費と学校給食費を合わせた家庭負担の年間平均が、小学校で10.7万円(うち学校給食費4.4万円)、中学校で18.2万円(同4.3万円)だというのです。これに学校外活動費を加えると、それぞれ32万円、49万円となり、1月当たり3~4万円の支出になりますから、改めて数字を見ると大変です。

時期によっても出費かさむ

もっとも、これは小学校6年間や中学校3年間の支出を、年に換算したものです。小学校では、ランドセル4万円、体操着(夏冬2着、3セット)6.6万円、修学旅行費4万円など、時期によって小さくない出費があります。
さらに、辞書(国語・漢和)4000円、ドリル(計算・漢字)1万800円、書道道具4000円、鍵盤ハーモニカ3500円……など細かい支出が積み重なると、先のような数字になるわけです。
一方、中学校では、修学旅行費が6.6万円に増えるほか、部活動4.4万円、電子辞書3万円、林間学校3.5万円など、多額の出費も加わります。

国から家庭まで教育費負担を見直し

ところで、なぜ内閣府のWGが、こんな数値を示しているのでしょうか。
WGでは、今後5~10年にわたる教育・人材育成をめぐって、「時間」「人材」「財源」の観点から総合的な見直しを検討しています。
今までの学校は、教科書に代表されるように、紙ベースの一斉授業を前提としています。一方で、1人1台端末の導入が進み、一部教科でデジタル教科書が導入されるなど、今後は教材整備の在り方一つ取っても、ますます大きく変化することが予想されます。
そんな時代も踏まえて教育費の在り方を見直し、教育面でもデジタルトランスフォーメーション(デジタルによる変革、DX)を進めよう、というのがWGの狙いです。

まとめ & 実践 TIPS

「時間」「人材」「財源」を見直すということは、教育条件を支える資源(リソース)全体を見直すということです。裏を返して見れば、これまでのやり方では、なかなか公的負担が増やせなかった状況を、何とか打開したいという意図も込められています。
家庭の経済的格差も進んでいると指摘される中、本気で家庭負担の在り方や、公費による学校教育の充実策を検討してほしいものです。年末にも予定されるWGの中間とりまとめが注目されます。

総合科学技術・イノベーション会議 教育・人材育成ワーキンググループ(第3回)配布資料「 これまでの議論を踏まえた論点整理 ~「財源」の確保・再配分について~(案)」
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kyouikujinzai/3kai/3kai.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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