コロナ休校に備えた力は将来の糧となる—今、子どもたちに必要な「自己調整力」とは?

第5波を迎えた新型コロナウイルス感染症の拡大で、子どもにも感染が広がっています。文部科学省は2020年春のような全国一斉臨時休校は求めないものの、緊急事態宣言対象地域などで、休校や学年・学級閉鎖を判断する際のガイドラインを示しました。地域感染状況によっては、いつ学校が臨時休校や分散登校、出席停止にならないとも限りません。どう考えればいいのでしょうか。

この記事のポイント

文科省は全国一斉の要請を否定

国立感染症研究所によると、園児も含めた10代以下の感染者数が増加しています。ただし小学校では、児童間の感染による大きなクラスター(感染者集団)は発生していません。日本小児科学会と日本小児科医会は、学校生活の確保が極めて重要だとした上で、10代になると感染性が成人に近くなることから、地域によって、やむを得ない場合には休校や学級閉鎖、分散登校などを考慮する必要があるとの見解を示しています。

文部科学省は2021年8月27日、ガイドラインで▽児童生徒に家庭内感染ではない感染者が出た時は出席停止▽同一学級に複数の感染者が出た場合は学級閉鎖▽学年内で複数の学級閉鎖が出た場合は学年閉鎖▽複数の学年が閉鎖された場合は臨時休校……などの判断基準を示しました。

ICT活用で学びもハイブリッドに

たとえ出席停止や臨時休校になっても、学びを止めないことが重要です。国は「スクール構想」を前倒しし、2020年度中に、ほとんどの小中学校で、1人1台端末などの整備を進めました。21年4月から本格運用を始めたという学校も少なくないかもしれませんが、以前に比べれば条件は整っています。
コロナ後の「ニューノーマル」(新しい日常)では、社会の至るところで、リモートと対面の「ハイブリッド」が当たり前になることでしょう。むしろ臨時休校中などにオンライン授業を受けることは、ハイブリッドな社会で生きていくための備えになると、前向きに捉えることもできます。

そもそもICT(情報通信技術)機器を使いこなすことは、これからの仕事や社会生活で、不可欠なことです。新学習指導要領が求める、あらゆる学習の基盤となる「情報活用能力」を身に付ける好機なのです。

「主体的に学習に取り組む」ため

そうは言っても、学校が休みの間、家庭で子どもの勉強を見ることがどれだけ難しいかは、2020年の一斉休校時に、多くの保護者が痛感したことでしょう。
そこで注目されるのが、これも新指導要領が求める学習評価のうちの「粘り強く学習に取り組む態度」(粘り強さ)と「自ら学習を調整しようとする態度」(自己調整力)です。
これは、評価の観点の一つである「主体的に学習に取り組む態度」を、二つの側面に分けたものです。学校の授業で必要なのはもちろん、そうした力をしっかり身 に付けていれば、たとえ急な臨時休校となっても、子ども自身で、家庭学習にしっかり取り組むことができるようになります。

まとめ & 実践 TIPS

いつ、どこで感染爆発が起きるかわからないのが、新型コロナのやっかいなところです。 しかしピンチをチャンスと受け止め、家庭でも、普段から学校と連携して、どんな時も子どもの学びを止めない備えをしておきたいものです。


国立感染症研究所「乳幼児から大学生までの福祉施設・教育機関(学習塾等を含む)関係者の皆様への提案」(2021年8月26日)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10601-covid19-19.html

日本小児科学会・日本小児科医会「現在の新型コロナウイルス感染流行下での学校活動について」(同)
http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=131

文部科学省 事務連絡(2021年8月27日付)「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインの送付について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html

中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(2019年1月21日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1412933.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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